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NRS、化学品総合物流拠点「熊本支店」を竣工

2023.07.20

NRS(本社・東京都千代田区、戸木眞吾社長)は12日、熊本県大津町で「熊本支店」の竣工式を開催した。半導体原材料等にかかわる各種化学品(消防法第4類、指定可燃物、毒物及び劇物取締法該当品、高圧ガス保安法該当品、一般化学品)を1ヵ所でかつ専門的に扱う総合物流拠点と位置づけ、定温対応の危険物倉庫、全国的に希少な高圧ガス貯蔵所および除害設備、ISOタンクコンテナ貯蔵所などを整備。フォワーディング、通関、マルチモード(内航・鉄道・陸運)に対応した輸配送機能などを組み合わせたワンストップサービスを提供していく。

1150㎡の高圧ガス貯蔵所、除害設備も

NRSでは、需要拡大が見込まれる半導体原材料にかかわる温度管理化学品や高圧ガスをターゲットに、同社の総合物流サービスをワンストップで提供するため、半導体産業の集積地である熊本への進出を決定。昨年6月、熊本県立ち合いのもと大津町と立地協定を締結した。「熊本支店」の敷地面積は約3万7900㎡。熊本県のセミコンテクノパーク至近で、九州のほぼ中心に位置する。国道57号大津ICから2㎞、熊本空港から約12㎞と交通アクセスが良好で、コンテナターミナルを拡張整備中の八代港から70㎞、九州最大の博多港からも120㎞の距離にある。

今回、敷地内で整備中の施設の一部が竣工したもので、11月には完全竣工となる。一般品倉庫(定温・常温)は延床面積約3000㎡の鉄骨造2階建て、危険物倉庫(定温・常温)は約1000㎡の鉄骨造平屋建て。全国的にも珍しい毒性ガスを保管できるISOタンクコンテナ棟を設ける。高圧ガス貯蔵所および除害設備は約1150㎡の鉄骨造平屋建て。屋外タンクコンテナ保管施設では、液体化学品、高圧ガス(不活性ガス)および空コンテナを取り扱う。また、敷地内に非常用発電機を設置。7月から8月にかけてリーチスタッカー計2台を導入する。

輸出入貨物を扱うため、8月をメドに保税蔵置場とする計画。輸配送機能については、ヘッド5~10台、シャーシ30台、トラック(定温対応含む)3台でスタート。ISOタンクコンテナ輸送では、「24時間・365日」の体制で半導体原材料の夜間納品に対応していく。なお、NRSの国内物流拠点には、「輸送事業所」「物流センター(倉庫)」「デポ・油槽所」があるが、「熊本支店」は各種物流機能を1ヵ所に集約してワンストップサービスを提供する、これまでにない多機能拠点であることから「支店」と位置づけた。なお、「熊本支店」では敷地内にまだスペースがあり、2期工事も予定している。

事業成長支える拠点、さらなる高み目指す

竣工式で戸木社長は、「熊本支店はNRSおよびグループ全体にとって、今後の事業成長を図るための大変貴重な拠点となる。シリコンアイランドの九州の中で、熊本はいま最も注目されており、半導体企業が集積し、その製造に関わる原材料は国内品のみならず、輸入品も多く想定されている。こうした物流ニーズに対応するため、通関、フォワーディング、陸上、内航、鉄道輸送、保管、汎用・特殊コンテナの提供、その修理点検といった機能に加え、様々なシステムを構築して、ハード、ソフトの両面でより良いサービスを提供していく」と表明した。

さらに、「化学品の総合物流会社として、国内外のグループ会社とともに、すべての事業機能とこれまで培ってきた取引先との緊密な関係をフルに活用し、より機能的、効率的なサービス提供に邁進していく。強力なビジネスパートナーの皆様と強いタッグを組んで、グローバルな化学品のサプライチェーンの一角を築きたい。どんな逆境にあっても前に進み、絶えず進化し、より付加価値の高いサービスを提供し、不可能な物流を可能にする価値ある会社を目指す。安全と遵法を最優先し、すべてのステークホルダーから信頼され、持続的な成長を支える事業を築いていきたい」と意欲を見せた。

能登洋一会長は「『熊本支店』はNRSにとって国内で25番目、九州では3番目の拠点となるが、半導体の製造に必要性な化学品原材料を一手に、しかも専門的に扱う施設である点で、これまでの施設とは全く異なっている。半導体は未来の社会に不可欠であり、その製造に不可欠な化学品原材料の物流を提供する。こうした施設は日本で初めて、世界でもおそらくは初めてではないか。『熊本支店』では高純度な化学品をターゲットに安全に、法令を遵守し、適切な物流サービスを実現する。高品質で多機能な化学品の物流サービスを軌道に乗せ、さらなる高みを目指す」と挨拶した。
(2023年7月20日号)


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