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改正「改善基準告示」で過労運転防止=国交省・堀内自動車局長

2022.10.06

国土交通省の堀内丈太郎自動車局長(写真)は9月30日、専門紙記者会見を開いた。厚生労働省が9月27日にトラック、バス、ハイヤー・タクシーのドライバーの労働時間などの改善基準(改善基準告示)について改正内容をとりまとめたことを受け、改正・公布の後は事業者だけでなく荷主・旅行会社などへの周知を行うとした。その上で2024年4月の施行後は「適切に運送事業者への監査を実施し、ドライバーの健康と輸送の安全を確保していく」と強調した。

荷主への改善基準告示の周知で商慣習改善を

堀内局長は改善基準告示の改正について、9月27日開催の厚労省の会議でトラック、バス、ハイヤー・タクシーの3業態の改正内容が定まったことを歓迎。「従来から道路運送法や貨物自動車運送事業法が事業者に求めている過労運転防止の観点から重要な課題であると認識しており、厚労省の専門委員会にオブザーバーとして参加し、議論を注視してきた」と述べ、改正点のうちの休息期間について「現行の1日の休息期間を8時間与えることから11時間与えることを原則とし、9時間を下回らないとした。労使双方の努力によって過労運転が防止されることを期待している」と語った。

改善基準告示改正の議論では、トラックの長時間労働の大きな要因として荷主による待機指示があることを使用者側が指摘。改善を実現するには荷主の理解・協力により、待機時間をなくすよう商慣習を改めることが重要との認識が共有された。これに関連して堀内局長は24年4月の施行後は「新たな改善基準告示が過労運転防止に向けて効果的かつ実効性のあるものとなるよう、厚労省と連携し、運送事業者のみならず、荷主など運送業務の依頼主への周知も図る」と表明。長時間労働是正への意欲を示した。

標準的な運賃の届出件数は「道半ば」…

トラック運送業の標準的な運賃について届出件数が8月末時点で全国事業者の49・9%となったことに触れ、荷主と事業者の取引環境改善のために一定の役割を果たしているとの認識を示した上で「まだまだ道半ばであり、届出件数を今後増やしていくことが重要」だとし、今後は「事業者からの意見も聞きながら、さらなる周知・啓発を引き続き行い、届出件数を増やしていきたい」と述べた。また、取引環境改善に向けて「荷主企業に対し、標準的な運賃や燃料サーチャージ導入について理解と協力を呼び掛けてきたが、今後も継続して実施する」と説明。加えて、関係省庁と連携しながら、独占禁止法や下請代金支払遅延等防止法に基づく取り締まりや、貨物自動車運送事業法や下請中小企業振興法などに基づく指導を行い、事業者の適正運賃収受の実現に取り組んでいくとした。

改正貨物自動車運送事業法による標準的な運賃や荷主対策の深度化の施策が24年3月末までの時限措置であり、一部の事業者から延長・恒久化を望む意見があることについて「まずは現在の制度に基づいた取り組みを着実に実施していくことが重要。その上で、制度の延長や恒久化の議論に対しては、その時点の現状をしっかりと踏まえて対応する」と表明した。

標準的な運賃の届出は49・9%

国交省自動車局が公表したトラックの標準的な運賃の8月末時点の届出状況は全国平均で49・9%だった。前月末の49・2%と比べ0・7pt上昇した。運輸局別にみると北海道は57・7%、東北は60・6%、関東は22・5%、北陸信越は58・0%、中部は59・2%、近畿は54・8%、中国は78・0%、四国は86・6%、九州は70・4%、沖縄陸運事務所は35・4%だった。
(2022年10月6日号)


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