雪国まいたけ、委託先集約で積載率7割から9割へ
きのこ製造販売大手の雪国まいたけ(本社・新潟県南魚沼市、湯澤尚史社長)は本拠とする新潟エリアを中心に輸送委託会社を集約することで、トラックの積載率を従来の7割から9割へ大幅に改善した。これにより、「2024年問題」やドライバー不足への対応、さらにはCO2排出量削減などの環境負荷低減にも貢献する。
雪国まいたけは主力商品であるきのこ製品の大半を南魚沼市内の工場で生産し、全国へ出荷する。納品先には基本的に、協力運送会社の拠点を活用した幹線便と2次配送で届けられ、ボリュームの大きな販売先向けには直納も行う。TC利用を含めた中継拠点は北海道、東北、関東、中京、北陸、阪神、岡山、九州の各所に構える。
こうした輸送業務は従来、各方面で幹線輸送、個配送に関わらず数社の運送会社に委託していたため、各社の配送エリアが重複し、委託先も約35社に上っていた。そこで、「2024年問題」やドライバー不足への対応として、物流体制の見直しに着手。これまでは荷物の増減に関わらず協力運送会社のトラックを手配する必要があり積載率が下がっていたが、委託先運送会社を元請け会社へと集約し、同社の中でトラックの台数を調整できるようにしたことで積載率の上昇と輸送台数の最適化を実現した。
元請けとなった会社からは様々な物流改善提案が寄せられたことが委託の決め手となった。委託範囲をさらに広げることは考えにはないものの、今後も同社と密に連携を取り、よりよい物流体制の構築に向けて協力していくという。
このほか、19年に子会社化したきのこメーカー2社の製造拠点が西日本に所在することも積載率の向上に寄与。具体的には、京都府京丹波町の本しめじ生産販売会社「瑞穂農林」と岡山県瀬戸内市のマッシュルームの製造販売会社「三蔵農林」で、西日本発の荷物ができたことにより、トラックの東西往復利用が可能になった。併せて、輸送全体で3次配送の解消も進めており、さらなる物流効率化を目指す。
「2024年問題」への対応や環境負荷軽減に向けてはモーダルシフトも進める。17年3月から新潟~北海道の太平洋側ルートで31ftクールコンテナの利用を開始し、同11月には日本海側ルートでも20ftクールコンテナによる鉄道輸送を行ってきたが、天候不順による輸送障害の頻発を受け、直近では利用が減少傾向にあった。ただ、「貨物鉄道会社のサービスも年々改善されている」(小林譲二・販売物流部長)として、今後は鉄道輸送についても目標を定めて増やしていく方針とする。
雪国まいたけでは、21年4月に物流関連組織も刷新。営業本部内にあった物流部と営業企画部販売管理課を統合し、販売物流部へと改組した。従来、営業本部傘下として販売部門と連携を進めてきたが、組織改編によって生産部門との連携も強めたかたち。生産・販売計画を早期に共有できるようになり、物流の視点から両部門への要請もしやすくなった。「倉庫設備も無限にあるわけではなく、生産・販売状況にあわせ、保管も輸送もしっかりと効率良く管理していきたい」と小林氏は話す。
(2023年1月19日号)