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ラベル貼り、棚入れは「着荷主」の業務=日食協

2023.10.24

日本加工食品卸協会(日食協、國分晃会長)は18日、持続可能な物流を構築するため、「荷待ち・荷役作業削減に向けた加工食品業界の取組みガイドラン」を策定し、公表した。トラックドライバーの長時間の荷待ち削減に向けた対策例を示すとともに、納品先での荷降ろし時にトラックドライバーが行っている各種作業について範囲を明確化。ラベル貼りや棚入れなどは着荷主側の業務範囲であると規定した。

予約システム、発着荷主協議のもと導入を

持続可能な加工食品物流を構築するには、ドライバーの拘束時間、特に納品時の荷待ち時間および荷役作業に要する時間の削減、限りあるトラック輸送能力の最大限の活用などが不可欠であるとし、これらを実現するための施策の策定および実行に向けた手引きとしてとりまとめた。

同協会の物流問題研究会と、メーカーが参加する食品物流未来推進会議(SBM会議)で検討したもので、ガイドラインの適用範囲は、メーカー拠点(発荷主事業者)から卸拠点・小売専用DC(着荷主事業者)への納品までとした。

長時間の荷待ち・荷役作業発生の要因として、①アイテム数の増加②着荷主事業者物流センターのバースや入荷作業場の狭隘化③バラ降ろしによるバースの占有④先着順による入荷検品――を挙げた。

荷待ち時間については、各拠点が設定している開場時間以降で、「受付時間(予約時間)から荷降ろし開始時間まで」と定義。開場時間(予約時間)前に到着し、待機している時間は対象外とするものの、こうした待機も拘束時間にあたるため、削減に向けて努力する。

長時間の荷待ちの削減施策については、本来の目的に合致し、発着荷主事業者と物流事業者の業務効率化に資することを前提とする。実施にあたっては、事前に十分に協議を行い、いずれかに負荷が偏らないように留意する。

具体的な施策では、入荷予約受付システムの利用促進、ASN(事前出荷明細)データの普及、入荷時間枠の見直し、メーカー、卸の車両の相互活用、先行在庫の検討、発注頻度の低減、マザーセンター化の検討を挙げた。

入荷予約受付システムについては、予約枠の不足、希望予約時間帯と確定時間帯のかい離、時間指定の増加、複数システムの乱立、予約業務負荷の増大といった課題を挙げ、導入目的を明確化し、発着荷主事業者双方による協議のもと、導入を進めていくべきとした。

検品できる状態の商品整列は「発荷主」側で

荷役作業については、荷役作業自体の工数見直しや削減に、発着荷主事業者双方が継続して取り組むとともに、新規納品先については、荷役作業の内容や範囲等に関し、事前に協議の上、決定する。

荷役作業現場での安全対策では、荷役作業の現場は十分な広さを確保し、床面の凹凸等つまずきの原因をできるだけ排除することや、死角となる箇所を極力なくすように対策を施すことを求める。

フォークリフトによる荷役作業が発生する場合、フォークリフトを管理する事業者は、法令に基づき必要な定期点検を実施し、安全性を確認。使用ルールを構内に掲示または周知し、作業者が最大荷重に適合した資格を有しているか確認する。

荷降ろし時に複数の商品がパレット上に混載され、そのままでは検品ができない場合、検品できる状態に商品を整列することは、発荷主事業者側の業務範囲とする。同一商品で複数の賞味期限が混在する場合も同様とする。

また、検品できる状態に商品を整列するために使用する積替え什器については、保管場所までドライバーに取りにいかせてはならず、また、積替え後に所定の場所まで商品を搬送させることも不可とする。

荷降ろし時のラベル貼付、所定の場所への二次移動、棚入れ、賞味期限入替え等の作業のほか、着荷主事業者事由で事前に双方で取り決めた利用可能なパレットから他のパレットに積替える作業、着荷主事業者の物流センターのラックの高さに合わせる「段落とし」作業は着荷主事業者側の業務範囲とする。
(2023年10月24日号)


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