国交省が〝目安箱〟、悪質荷主対策に効果発揮
国土交通省がホームページに設置したトラック事業者からの悪質荷主に関する情報提供窓口、いわゆる〝目安箱〟が効果を発揮している。寄せられた情報をもとに国交省が改善要請を行ったすべての荷主が改善に取り組む意向を示す文書を提出。「有言実行」を確認するためのフォローアップも行い、改善の促進を図っている。
情報提供と意見投稿を募集する窓口を設置
2018年12月に成立した改正貨物自動車運送事業法では、荷主勧告制度を強化するとともに、荷主に対してトラック事業者の違反原因につながる行為を改善するよう依頼や要請を行えるようにした。違反原因行為を行う荷主についての情報収集を行うため国交省HPに設けられたのが、トラック事業者やドライバーからの情報提供と意見投稿を募集する窓口、通称〝目安箱〟だ。
窓口に寄せられた情報は担当者が精査し、違反原因行為の可能性が高い場合、荷主に対して文書を発出して運送事業者への配慮と改善の取り組みを要請。国交省関係者によると「窓口に寄せられる情報は1年間で3ケタを下回ることはなく、そのうちの1割未満については違反原因行為の可能性がある」という。
改善要請を実施した件数は非公表だが、21年3月末時点での違反原因行為の内容は「長時間の荷待ち」が53・8%と半数以上。次いで「過積載」の20・5%、「無理な配送依頼」の10・3%が1割を超える要因だった。そのほか「拘束時間の超過」が7・7%、「異常気象によるトラブル」が5・1%、「依頼になかった附帯業務」が2・6%と続く。
なお、これまで国交省から改善要請を受けたすべての荷主は、改善に取り組む意向を文書で提出。国交省の担当者は定期的に荷主から報告を受けるとともに、改善進捗のフォローアップを行っている。同省の担当者は「社内で共有することで、さらなる改善に努めてほしい」と期待する。
ただ、寄せられる情報の中には匿名であったり、具体性を欠いているものもみられ、その場合には国交省としてもアクションをとりにくい。「本人の同意なしに提供された情報に基づいて投稿者や事業者、荷主に問い合わせを行うことはないので、匿名ではなく、具体的な事例について情報提供をお願いしたい」と呼びかけている。
(2021年9月16日号)