メニュー

エスワイプロモーション、印西市に東関東営業所を開設

2021.03.02

キユーソー流通システム(KRS)グループのエスワイプロモーション(本社・東京都江東区、廣田巨社長)は2月、千葉県印西市に「東関東営業所」を開設した。自社施設としては26年ぶりの新設営業所であり、トラック輸送事業における東日本エリアの中核拠点となる。さらに、今期(2021年11月期)下期には「東日本配車センター」も立ち上げる計画にあるほか、自然災害に強い立地を生かしたBCP拠点としての役割を担い、営業所内には初の「研修センター」も設けるなど、同社事業全体の持続的な成長を担う戦略拠点の位置づけにある。

北海道・九州~関東の輸送業務を最適化

東関東営業所(写真)は「D-Project Industry千葉ニュータウン」のA区画約9800㎡を購入して開設した。敷地内には最大41台分の車庫スペースと事務所棟、大型車用の洗車機、給油施設、およびタンクローリー用の高圧温水洗浄設備を備え、事務所棟には中継輸送のための貨物仮置き場も併設する。総投資額は約10億円超。取扱貨物は食品原料が中心となり、冷凍食品の扱いも多いことから、まずは低温車を含めた大型トラックおよびトレーラなど15台を配備し、毎年10台ペースで増車して、5年後に40台体制とする計画にある。

エスワイプロモーションではタンクローリーとトラックによる輸送サービスを展開するが、東関東営業所は主にトラック輸送の拠点として稼働する。従来、東日本におけるトラック輸送の中核拠点は船橋営業所(千葉県船橋市)だったが、営業所内で車庫が4ヵ所に分散していた上に、拡張用地の確保も困難であったことから、東関東営業所の新設を決め、船橋営業所のトラック輸送機能を移管した。

東関東営業所の開設により、北海道および九州と関東を結ぶ長距離輸送業務も最適化。北海道発のシャーシはフェリーで大洗港に到着するが、船橋営業所からではドライバーの拘束時間が超過し、引き取りが難しかった。九州発のシャーシも北関東向けの納品が多いため船橋営業所ではカバーできず、東京港(有明)にシャーシプールを別途設ける必要があった。東関東営業所からであれば一連の輸送業務も法令を遵守しながら対応できる上、取扱量の拡大にも対応可能。

また、同所は人口増加率の高い「千葉ニュータウン」に位置し、乗務員の安定的な確保が見込まれる上、トレーラ輸送は工場間在庫移送をはじめとする定時定量の仕事が中心であることから女性ドライバーの採用にも期待を寄せる。将来的には、立地を生かして、未進出である東北地方の輸送業務や成田および羽田空港の航空貨物なども積極的に獲得したい考えだ。

東日本配車センターを21年度下期に稼働予定

東関東営業所では今期下期をメドに、営業所毎の配車業務を集約した総合配車センター「東日本配車センター」も立ち上げる計画にある。西日本ではすでに18年より甲南営業所(神戸市東灘区)で「西日本配車センター」を稼働しており、効果を発揮していることから東日本にも展開する。今後は東西の配車センターを連携させることで総合配車の対象を全国へ広げ、車両の稼働率向上と安定確保、ドライバー労務管理の適正化、およびCO2排出量削減に貢献する。福永潤・執行役員東日本統括は「KRSグループとして推進する長距離中継輸送 “結ぶ輸送”にも寄与する取り組み」と話す。

さらに、東関東営業所はBCP拠点としての役割も担う。同社の営業所が臨海部に集中する中、東関東営業所は内陸部の台地で、主要企業がデータセンターを構える地盤の強固なエリアに立地することから、有事には同所を本社のサテライトオフィスとして稼働できるよう事務所機能を整備。給油施設には軽油30㎘を貯蔵可能であり、災害時にもトラック輸送業務を安定的に維持できる体制を構築した。
併せて、事務所内は「働きやすい環境」を目指してドライバーの更衣室やシャワー施設、仮眠室を男女別に設置。施設1階にはスロープを設けて、車椅子による構内への出入りを可能にするなど、多様な働き方を可能にするバリアフリー環境も整えている。

受け継がれる品質“SYマインド”を伝承

東関東営業所のもうひとつの重要な役割が、同社初となる「研修センター」だ。具体的には、敷地内にタンクローリーの高圧温水洗浄施設を設置するとともに、事務所棟には60人収容可能な会議室を設け、全ての営業所と映像をつないで研修が行えるテレビ会議システムを導入した。こうした施設でドライバー以外の職員も含めて、タンクローリーの構造や仕組みなどを実地と座学で包括的に学び、技術の継承につなげる。

福永氏は「当社は3年後に創業60周年を控え、現場で暗黙知となっている“品質に対するエスワイ(SY)マインドの伝承”を大切にする必要があると考えた」と説明。松木法一所長も「我々の業務は机上の仕事ではなく、デジタル化を進めながらも、人が動き、体感し、五感で覚えた技術を伝承することで活躍できる人材の育成につなげたい」とした上で「東関東営業所は“当社の将来を担う”という非常に大きな意味を持つ拠点になる」と展望する。
(2021年3月2日号)


関連記事一覧