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サントリーロジが「浦和美園配送センター」を稼働

2021.12.02

サントリーロジスティクス(本社・東京都港区、武藤多賀志社長)は11月24日、さいたま市浦和区に開設した新拠点「浦和美園配送センター(写真)」の開所式を開催し、稼働状況を公開した。同センターは11月から稼働を開始し、サントリーグループの清涼飲料水や酒類各種を取り扱う拠点として活用する。近隣エリアの複数拠点の機能を集約することで在庫配置や倉庫間移動の効率化を図るとともに、自動運転フォークリフト(AGF)を活用した自動化・無人化システムなどを運用し、グループが推進する物流デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みである「スマートロジスティクス」を具体化した拠点として活用する。

新センターは大和ハウス工業の「DPL浦和美園」の3~5階を賃借して開設。倉庫面積は約4万㎡、保管能力は約115万ケースで、サントリーグループの物流拠点としては東日本最大規模。ランプウェイで各フロアに直接接車でき、低床式バースを39バースとトラック待機場18台を設けた。施設内にはパレット上下搬送機を4基備えたほか、フォークリフトを33台導入(うち4台はAGF)。各フロア天井には大型ファンを合計14基設置し、庫内快適性を高めている。

物流DXを具体化するのが、各種業務システム間でデータ連携を行い、トラックドライバーへの負担軽減をはじめ、倉庫荷役業務の自動化・省力化を図るシステム。在庫管理システム(統合WMS)を中軸として「AGF・コンベア制御による自動化・省力化システム」「バース予約システム」「リモート・無人車両受付システム」「入荷実車の情報および出荷伝票印刷システム」などを連携した庫内業務の総合的業務管理機能だ。各システムを活用することでセンター全体では、従来の技術を導入した場合と比べ、工数を約15%削減できる。

AGFとコンベアの連携で作業負荷を3割軽減

目玉となる自動運転フォークリフト(AGF)とコンベアを組み合わせたシステムは、物流業界では初の取り組み。AGF専用のエリアを設けることで人との接触を回避し、安全を確保しながら有人作業と同等の作業効率性を実現する。AGFの稼働エリアでは有人作業を想定した場合と比較して、工数を約30%削減できる見込み。同システムに関する投資総額は数億円の規模となる。自動化・省力化システムのほか、有人のフォークリフト全台にAI技術を活用したドライブレコーダーを搭載し、事故発生の抑制につなげる。

記者会見に出席した武藤社長は同センターの開設について「大規模市場である首都圏に向け、浦和美園配送センターを活用することで安定的供給を図っていく。施設規模が大きいため効率的な運用が重要となるが、そのために最新システムを導入しており、グループの配送センターとしては初の取り組みとなる」と述べ、「今後は本センターの稼働を通してシステムの機能をブラッシュアップし、グループ内ならびに協力会社に向けて水平展開していく」と展望した。また、「センター所在地のさいたま市が掲げるSDGs17項目のうち8項目にチャレンジする。近隣の住民を対象とした交通安全教室なども開催する予定だ」と説明し、環境面での取り組みでも意欲的な姿勢を示した。
(2021年12月2日号)


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