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物流生産性向上へ情報連携、納品情報を電子化=加工食品メーカー/卸

2024.07.25

加工食品メーカーと卸との間で、物流の生産性向上に向けた“情報連携”が本格化してきた。加工食品のサプライチェーンにおいて、卸~小売間に比べて遅れている、メーカー~卸間で納品情報の電子化を進め、卸の物流センターでの検品、荷降ろしにかかる待機時間の削減を図り、トラックドライバーの負担軽減につなげる。メーカーや卸の団体などが参画する「DPC(Data Platform Construction)協議会」で2024年度中に標準EDIシステムを構築し、25年度から実装を目指す。

DPC協議会で製・配・販3層の標準EDI検討

メーカー~卸間ではこれまで、1987年に日本加工食品卸協会(日食協)が定めた標準EDIフォーマットを運用してきた。日食協では持続可能な加工食品物流に資する次世代EDI基盤を検討する中で、日食協のEDIフォーマットをバージョンアップするのでなく、卸~メーカー間のEDIを、卸~小売間で運用されている流通BMSへ統合し、製・配・販3層の標準EDIを導入する方針を固めた。

メーカー~卸間の次世代標準EDI等の課題を検討する場として、日食協をはじめとする関係諸団体が「DPC協議会」を設置。同協議会は、消費財物流の諸課題を協業により解決する仕組みを協議する組織で、流通経済研究所、日食協、メーカー8社(味の素、ハウス食品、カゴメ、日清製粉ウェルナ、日清オイリオグループ、ミツカン、キユーピー、キッコーマン)で構成する食品物流未来推進会議(SBM会議)、VAN事業者のファイネットが構成員となっている。

荷物の受領にかかわる高度化に優先的に着手

加工食品サプライチェーンの情報流の現状をみると、卸~小売間では納品情報がすでにデータでやり取りされ、検品レスが実施されているのに対し、メーカー~卸間ではいまだ紙の納品伝票の運用が主流。荷受け側でいつ何がどのような荷姿で来るのか、荷物の到着までわからないため、物流センター側で受け入れ体制が整えられず、検品の際に伝票と荷物を照合するのに時間がかかるなど、ドライバーの長時間待機の一因となっている。

このためDPC協議会では、メーカー~卸間の荷物の受領にかかわる物流の高度化に寄与する、納品情報のEDI化に優先的に取り組むこととし、伝票レス、検品レスの実現を目指す。同協議会では、加工食品、日用品業界で異なるコードとなっている事業所マスタを標準化し、物流拠点などを一意に識別する情報データベースを構築。これらのデータを活用したCO2排出量算出サービスも併せて検討する。

加工食品製配販3層が連携し物流課題を解決

加工食品サプライチェーンをめぐっては情報のみならず物流連携も進む。22年4月には「フードサプライチェーン・サステナビリティプロジェクト(FSP)会議」が発足。小売業(日本スーパーマーケット協会、全国スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会、SM物流研究会)、日食協、SBM会議が構成メンバーとなり、製配販3層一体で物流課題解決に向けた取り組みを開始している。

昨年6月に公表された政府の「物流革新に向けた政策パッケージ」および「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」を受け、業界ごとに作成する自主行動計画についても、「発着荷主間の連携・協力があって達成されるもの」との前提に立ち、FSP会議が作成した「加工食品業界製配販行動指針(FSP版)」を製配販3層共通の自主行動計画に位置付けている。
(2024年7月25日号)


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