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【ズームアップ】「24年問題」対応で荷主と連携強化=F―LINE

2023.07.27

F―LINE(本社・東京都中央区、本山浩社長)では、「2024年問題」への対応で荷主との連携を強化する。4月に発足した社長直轄の新組織「物流未来研究所」が荷主と一体となった取り組みを主導。トラックドライバーの拘束時間にかかわるリスクの洗い出しを行い、協議が必要な納品先の特定を進め、対応を整理する。また、6月2日に策定された「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」を、「F―LINEプロジェクト」に参加する荷主のチェックリストとして活用し、取り組み状況を可視化することで改善につなげていく。

幹線輸送、マッチングの可能性を検証

来年4月にドライバーに年960時間の時間外労働上限規制が適用される「2024年問題」への対応を加速させるため、F―LINEでは昨年春から、プロジェクトの第2期活動をスタート。今年4月には、荷主と物流会社が一体となった「F―LINEプロジェクト」ならではの戦略、施策を議論し、物流改革のエンジンを担う組織として「物流未来研究所」を発足。「2024年問題」の本質を輸配送の「距離と時間の制約」ととらえ、その克服に向けた施策について、コスト上昇の抑制、物流に伴うCO2削減の観点も含めて検討している。

幹線輸送では、個別のルートについて、①高速道路の利用②リードタイムの延長③中継輸送(スイッチ方式)④鉄道・海上へのモーダルシフト④中継輸送(積み替え方式)⑤拠点の再編――などの施策を検討。これまでにメーカー6社の幹線輸送データをオープン化・一元化してデータベースを作成し、マッチングの可能性を検証。長距離、中距離で複数モデルを設計した。BCP対策も加味し、モデル設計にあたってはひとつの輸送モードでもルートの複線化を図った。

納品先情報をヒアリング、是正を協議

配送では、ドライバーの拘束時間対策として自社の配送拠点に今後の配送が懸念されるエリアをヒアリング。結果として配送距離200㎞を超えるエリアが抽出された。現在エリアごとのリスク内容を洗い出し、リードタイムの延長や附帯作業の削減、納品時間指定の緩和などの施策を検討。附帯作業、長時間待機の課題については優先度の高い全国80の納品先情報についてヒアリングし、優先して廃止したい作業をピックアップ。ドライバーが納品先で棚入れ、先入れ先出しまで行っているケース、長時間待機や路上駐車、予約システムが運用されていても予約枠がすぐに埋まってしまうといった実態を把握し、荷主とも連携しながら是正を協議していく。

ドライバーの附帯作業に関しては、荷主(メーカー)と納品先との当初の契約がはっきりしていないことも多い。1人のドライバーの運転時間を増やすことがドライバー不足のひとつの解決策となるため、ドライバーを拘束する附帯作業や待機時間の削減は不可欠となる。納品先の事情も考慮しながら、作業の「料金化」よりも「解消」を優先する考え。附帯作業や長時間待機の実態把握はドライバーへの聞き取りといったアナログな方法で行っているが、デジタル技術を活用した可視化も今後の課題と位置付ける。

荷量が少ない低密度配送の改善にも取り組む。トラックを確保するための売上保証、宅配・路線便の活用、共同配送による積載効率向上といった選択肢を検討。一方で、「現状のリードタイムでは打つ手がないこともある」(物流未来研究所の平智章所長)。たとえば、翌日配送を行うための深夜の仕分け作業は、近い将来、担い手がいなくなるおそれがあり、物流の持続性を確保するため、荷主と連携し、リードタイムの延長に向けた納品先との協議を進める。

ガイドラインを活用し弱点を明らかに

政府の「物流革新に向けた政策パッケージ」の一環として、「2024年問題」への対応を加速することを目的として関係省庁連名で発荷主事業者・着荷主事業者・物流事業者が早急に取り組むべき事項をまとめた「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」を活用した“セルフチェック”も始めた。発着荷主である「F―LINEプロジェクト」参加メーカーを一覧にし、実施すべき項目を「〇」「△」「×」でチェックし、弱点を明らかにして改善につなげる。

F―LINE未来研究所では「2024年問題」を“ゴール”でなく“スタート”と位置づける。来年4月からのドライバーの労働時間規制開始までに、抽出した課題をつぶすことを目標に掲げつつ、その先の「物流革新」を見据える。F―LINEは「F―LINEプロジェクト」に参加するメーカー5社が出資する共同物流会社で、未来研究所は各社の経営トップによる「社長会」の事務局も担う。トップがコミットする形でメーカーと物流会社が一体で改革を行える体制を強みに、加工食品物流さらには日本の物流革新に挑む。
(2023年7月27日号)


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