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国交省、保冷規格の活用でCC物流促進

2020.12.08

国土交通省は11月27日、官民連携でASEAN地域でのコールドチェーン物流(CC物流)の促進を図る「ASEANスマートコールドチェーン構想」検討会の第6回会合を開催した。今回は関係省庁がコールドチェーン構築に向けた取り組みを説明したほか物流事業者がASEANでの事業概要を紹介し、関係者間での情報共有を図った。事業者側からは鴻池運輸、セイノーホールディングス、郵船ロジスティクスの3社が出席した。また、産業界の立場から政策提言を行っている産業競争力懇談会(COCN)が保冷宅配サービスの国際規格の普及を提言した。

国交省はASEAN交通大臣会合で承認された日ASEANコールドチェーン物流ガイドラインに基づくBtoB分野の品質規格「JSA‐S1004」の概要と普及に向けた取り組みを説明。重点対象としたインドネシア、フィリピン、マレーシア、ベトナム、タイの5ヵ国との政府間対話の場を活用し、浸透を図るとした。併せて日本・ASEAN各国政府による政策対話に付随するワークショップを通じ、冷凍冷蔵機器メーカーと物流事業者によるPR活動を後押しする。

保冷宅配ISOの普及・浸透を推進

経産省は保冷品宅配サービスの国際規格「ISO23412」の概要を説明。同規格をBtoCだけでなくBtoBにも拡張することを目指し、検討のためのISO専門委員会設立を提案中だとした。
COCNは「ISO23412」の海外での普及や利活用を促進するため、規格の活用につながる関連技術の検討をはじめ、規格取得のメリットの明確化、各国での法制化への働きかけなど環境整備を進めるべきと提言。現在、同規格はヤマト運輸と沖縄ヤマト運輸のみが取得しており、今後は産業界でのさらなる認知度向上が重要だとした。

事業者の取り組みでは、鴻池運輸はベトナムやタイでの冷凍冷蔵倉庫業務をはじめ、保冷トラックを使ったチャーター・混載輸送、クロスボーダー陸上輸送など事業概要を説明。セイノーホールディングスはインドネシアでの合弁企業による冷蔵冷凍輸送の概要を報告。ラストワンマイルでの保冷輸送品質の改善が課題だと指摘した。郵船ロジスティクスはマレーシアやフィリピンでの事業について報告。マレーシアはイスラム圏のため、ハラル仕様の定温倉庫では非ハラル品を蔵置できないなどの課題もあることを指摘した。

そのほか、農林水産省が安全・安心な食品の生産技術の普及や人材育成の取り組みを説明。環境省が脱炭素型のインフラ輸出や自然冷媒を利用した冷蔵システム導入に向けた施策を報告した。
(2020年12月8日号)


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