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国交省が異常気象時下の輸送のあり方で目安公表

2020.01.09

国土交通省は6日、台風等による異常気象時下の輸送のあり方についての措置の目安の方向性を明らかにするとともに、パブリックコメントの募集を開始した。「50㎜/h以上」の降雨時、「30m/s以上」の暴風時には「輸送することは適切でない」とした。輸送を中止しない場合、直ちに行政処分とはならないが、国交省の監査で輸送の安全を確保するための措置を適切に講じずに輸送したことが確認された場合には、「貨物自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について(平成21年9月29日付国自安第73号、国自貨第77号、国自整第67号)」に基づき行政処分を行う。パブリックコメントの締め切りは17日で、1月中に施行される。

「30m/s以上」の暴風時の輸送は不適切

昨今の台風等の異常気象時には、トラック運送事業者が輸送の安全を確保することが困難な状況下で荷主に輸送を強要され、トラックが横転するなどの事故が発生。このような場合には、ドライバーの生命や身体が害される恐れがあることはもとより、当初の運行計画が崩れることにより、物流全体の効率性が損なわれ、持続的な物流機能にも影響が生じる。

こうした状況を踏まえ、貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)第17条および貨物自動車運送事業輸送安全規則(平成2年運輸省令第22号)第11条に関して、降雨時や暴風時における雨または風の強さに応じた輸送の目安を定めるとともに、輸送を中止した場合の対応や、当該目安を踏まえて輸送の中止等の判断を行ったにもかかわらず、荷主から輸送を強要された場合の対応を定める。

目安によると、「20~30㎜/h」の降雨時はワイパーを速くしても見づらいため輸送の安全を確保するための措置を講じる必要がある。「30~50㎜/h」では、高速走行時、車輪と路面の間に水膜が生じブレーキが効かなくなる(ハイドロプレーニング現象)ことから、輸送を中止することも検討。また、「50㎜/h以上」は車の運転は危険とし、輸送することは適切ではないとしている。

暴風時に関しては、「10~15m/s」「15~20m/s」で輸送の安全を確保するための措置を講じる必要があり、「20~30m/s」は、輸送を中止することも検討すべきとした。「30m/s以上」では走行中のトラックが横転することから、輸送することは適切ではないとしている。このほか降雪時、濃霧発生時、警報発表時の対応についても目安を定めている。
(2020年1月9日号)


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