改善基準告示見直し作業に着手=厚労省・労政審
厚生労働省の労働政策審議会は11月25日、労働条件分科会の会合を開き、改善基準告示の見直しを審議・検討する「自動車運転者労働時間等専門委員会(仮称)」を新設することを決めた。トラックなどのドライバー職は、多様な勤務実態や業務の特性、産業・物流の状況も踏まえた検討が必要になることから、分科会の運営規程を改正して専門委を設置。専門委は早ければ年内にも初会合を開く。
現行の基準のままでは、残業規制への対応が不可能
トラックドライバーの改善基準告示は現在、拘束時間(休憩時間含む)が月293時間(年間3516時間)、休息期間は原則として継続8時間以上、運転時間は2日平均で1日9時間、連続運転時間は4時間以内――などが定められている。しかし、現状ではそれすら守られていない場合が多く、2018年の労働基準監督署による臨検監督指導では違反率が6割を超える実態となっている。
昨年施行された働き方改革関連法では、トラックドライバーを含む自動車運転者の時間外労働時間の上限が24年4月から年960時間(月80時間)に制限される。このため、現行の年3516時間(月293時間)の拘束時間のままでは達成は不可能。
そのため、働き方改革関連法の成立時には、国会附帯決議事項として過労死の発生を防止する観点から改善基準告示の見直しを行うことが決まっている。
専門委は公労使3者の代表がメンバーに
今回の専門委の設置はこうした決議などを踏まえたもので、改善基準告示の見直しと、ドライバーの健康確保、過労死防止や労働時間の短縮などに関して必要となる事項を調査・検討していく。
通常であれば、労働時間分科会で審議すべきだが、ドライバーの勤務実態が多岐にわたるほか、危険物の配送など業務の特性を踏まえた基準を定める必要があるため、専門委で詳細な検討を行うべきと判断した。
専門委のメンバーは、公労使の3者で構成され、トラック、バス、ハイヤー・タクシーそれぞれ6人(公益委員2人、使用者側委員2人、労働者側委員2人)の計18人となる。
(2019年12月5日号)