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日鉄、コスモが内航利用に意見=国交省・海事分科会

2019.10.17

国土交通省は11日、交通政策審議会に設置された海事分科会基本政策部会(座長=河野真理子・早稲田大学教授)の第11回会合を開催した。内航海運の利用拡大に向けて課題を探るため、日本製鉄、コスモ石油の2社から物流担当者が出席し、内航海運への要望を述べた。

日本製鉄参与・物流部長の木村眞人氏は「物流効率化を図るため多様なデータに基づく分析が重要との観点から社内に物流管制センターを設置し、製鉄所での出荷から、内航船での輸送、中継地での保管・出庫へ至る実績の情報集約を行い、輸送やオペレーションのモニタリングとデータの蓄積・解析を行っている」と報告。それによると、荒天により予定入港時間の遅延や荷役作業の夜間・休日へのずれ込みが発生することや、荒天明けに積み地・揚げ地での船舶集中が発生することが判明。特に東日本で荒天の影響で船舶回転率が低くなっていた。

木村氏は、輸送効率化の取り組みとして、主要航路でのRORO船の活用を挙げ、「積載量は低下するものの貨物船利用でのクレーン荷役よりも荷役効率が2~5倍ほど向上し、クレーンの仕様による制約や雨天時の影響を受けにくいことがメリット」と説明。定時運航による輸送計画の精度向上も図られるとした。一方でRORO船の場合、接岸できるバースや積み地・揚げ地でのシャーシ置き場の確保が課題だと指摘した。
また、内航海運業界で人手不足が進んでいることについて、「船員の確保・育成に向けた支援を行うとともに、輸送における生産性向上に向けて船社との緊密な連携を図っていく」と意欲を述べた。

コスモ石油供給部物流グループ長の松山幸弘氏は「石油の安全で安定的な供給を行うには長距離・大量輸送に優れた内航海運が重要な意味を持つ」とした上で、熟練船員の定年退職による技能・ノウハウの断絶をはじめ、船員希望者の減少と若年船員の離職などによる船員不足、船舶オーナーの後継者問題が課題になると表明した。

会議ではこのほか、他業界での働き方改革の現状を把握するため、国交省土地・建設産業局建設業課の担当者が建設業での取り組みについて概略を発表した。
(2019年10月17日号)


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