国交省が過積載荷主対策で事業者に協力要請
国土交通省は1日より過積載違反車両への対策を強化した。現地取り締まり時の違反車両からの荷主名の聴取と違反情報を基にした荷主への要請について本格的に
実施することとし、全日本トラック協会(坂本克己会長)を通じ、運送事業者に違反時の荷主情報聴取の趣旨を周知し、協力を要請した。併せて、過積載の多い荷主
の業種や積荷については継続的に把握していく。また、違反情報に基づく状況確認と荷主への要請では、これまで過労運転違反に関連する場合に荷主情報聴取を行っ
てきたが、今後は過労運転違反に限定せず、巡回指導で得られた違反情報を基に、荷主を特定するため運輸局が事業者に直接聴取する。
同省では過積載車両の荷主対策として、2017年12月から直轄国道での現地取り締まりや事業者への直接聴取において荷主に関連する情報の聴取を試行的に開始
。17年12月12日から18年9月末までの期間中、違反台数640台のうち、荷主情報を聴取できたのは28台(4・4%)とわずかだった。また、違反情報に基づいて3
件の状況確認を実施したが、過労運転などの違反に限定していたことと、荷主の特定が困難だったため、荷主への要請を行ったケースはなかった。同省ではこの結果
を踏まえ、トラック協会に対して取り締まり時の荷主情報聴取への協力を依頼する文書を発出。違反情報による荷主への要請も運用を強化する。
特殊車両通行許可申請の際の申請書への荷主名の記載については、優先的に審査することで通常3ヵ月程度とされる許可までの期間を概ね10日程度にするベネフィ
ットを与えることとし、18年1月以降北海道、同年10月以降全国でトライアル実施した。その結果、集計期間中の全申請件数9万4269件のうち、61件(0・07
%)が荷主名を記載していたが、記載した事業者には違反者がいなかった。記載者が少なかったことについて、事業者が荷主を固定していないことや、荷主の“了解
”に時間を要すること、現状のベネフィットでは事業者がメリットに乏しいなどが要因だと見ている。申請書への荷主名記載は、今後も試行を継続し、対応を検討し
ていく。
(2019年4月11日号)