メニュー

悪質トラックへの巡回指導を重点化=国交省/全ト協

2023.04.06

国土交通省は悪質なトラック運送事業者への監査を強化し、1日から運用を開始した。適正化実施機関である都道府県トラック協会が行う巡回指導の総合評価が5段階評価のD(準最低)・E(最低)と低調で、改善がみられない悪質な事業者への巡回指導を重点化し、健全な事業環境づくりを図る。新制度に基づき、全国貨物自動車運送適正化事業実施機関である全日本トラック協会(全ト協、坂本克己会長)はD・E評価の事業者への巡回指導を半年に1回の頻度に高めることで、5年後にはD・E評価の事業者を6割減とする目標を掲げる。

3回連続「D・E評価」で監査・処分の対象に

これまで地方での適正化事業実施機関である都道府県トラック協会は、巡回指導の結果、総合評価がD・Eとなった事業者に対し、運輸支局に改善報告を提出させた上で概ね2~3年後に2回目の巡回指導を実施していた。そのため、次の巡回指導を実施するまでの期間に適正な事業運営を行わなくなる悪質な事業者をチェックすることは難しかった。

そこで新制度では2回目の巡回指導を半年後に実施することとし、それでも総合評価がD・Eの場合、また半年後に3回目の巡回指導を行うこととした。具体的には今月に巡回指導を実施し、総合評価がD・Eだった事業者には2回目の巡回指導を10月に行う。2回目もD・E評価の場合は来年4月に3回目の巡回指導を行う。3回続けてD・E評価だった事業者は国による監査や行政処分の対象となる。

監査の対象となるのは、①巡回指導の総合評価がD・Eの事業者であり、改善報告を提出しない事業者②巡回指導の総合評価が3回連続してD・Eとなった事業者③2024年3月末時点で過去3回の巡回指導の総合評価がEの事業者(2023年度のみ対応)――とした。

運輸支局は都道府県トラック協会からの報告を受けた場合、速やかに監査を実施する。その場合、管轄エリアによっては重点化以前からの監査対象者が多い場合も想定されるため、新制度の運用ではより悪質な事業者を優先して監査することも可とした。

国交省は実効性の高い新制度の運用を図るため、全ト協に対し通達を発出。巡回指導の実施後、事業者が行う改善報告の提出に関するフォローアップの強化を要請した。
(2023年4月6日号)


関連記事一覧