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駐車マス増設や〝送料無料〟是正を=物流政策懇談会

2020.12.24

国土交通省自動車局、全日本運輸産業労働組合総連合会(運輸労連、難波淳介中央執行委員長)、全国交通運輸労働組合総連合会(交通労連、園田龍一中央執行委員長)、全日本建設交運一般労働組合(建交労、角田季代子中央執行委員長)、全日本トラック協会(坂本克己会長)の政労使による物流政策懇談会の第49回会合が14日、全日本トラック会館(東京都新宿区)で開催された。

国交省の秡川直也自動車局長の挨拶の後、同局担当者が直近の施策や2021年度に実施予定の取り組みについて報告。意見交換の場では労組側が要請や意見・要望を行った。

運輸労連は業界改善の取り組みに関連し、改正貨物自動車運送事業法での規制の適正化や事業者が遵守すべき事項について施行後1年間の処分実績を質問したほか、Gマーク取得と「ホワイト物流」推進運動への参加との関連性について見解を求めた。

高速道路のSA・PAに関して、大型等駐車マスの増設や十分なスペース確保、シャワー室の増設を要請するとともに、一部では有料化の意見があることに対し、ドライバーの休憩・休息を確保する観点から無料を維持するなど行政による総合的な対応を要請した。

宅配便事業については「送料無料」という表現が利用者に誤解を与え、再配達を誘発する原因などになっていることから、表現の是正を要請。また、宅配ボックスやオープン型宅配ロッカーについて駅・集合住宅・大学等に加え、戸建住宅への設置拡充に向けた助成の継続や拡充を求めた。加えて、個人事業者が行う宅配配送のマッチングサービスについて、輸送中の荷物事故に対する損害賠償が不明確など不安定な面もあることに懸念を表明した。

タクシー事業者の食料・飲料配送については、一部で日用品の運送許可を求める声があることに触れ、その場合は緩和措置ではなく貨物自動車運送事業法を完全適用すべきだとした。

自家用有償輸送の規制緩和は悪影響との意見

交通労連は、不適切な労務管理や事業運営を行う事業者を対象に、適正な事業運営を行う用監督・指導を実施することや、業界内の秩序を乱し、法令遵守ができない事業者の業界からの退出が行われるよう、国交省、厚生労働省、適正化事業実施機関が一丸となり、強い姿勢で臨むことを求めた。

自家用トラックの有償貨物運送に関しては、政府に対し、経済同友会から柔軟な運用を求める要望や、日本IT団体連合から個人の自家用トラックによるラストワンマイル配送を可能とする法改正の要望があったことに触れ、こうした規制緩和により、トラック事業者の経営環境やドライバーの労働環境が悪化する可能性があると危惧を表明。自家用車の有償貨物輸送への規制緩和に反対意見を表明した。

また、ドライバーの時短に向け、デジタル運行記録計の装着義務化を求めるとともに、導入促進を図るため助成制度の創設を要望した。
要請などを受け、国交省自動車局は、今後も全ト協や労組と連携しながら、荷主に向けた標準的な運賃の周知活動など取引環境の改善に向けた施策に注力する考えを表明した。

全日本トラック協会は、政労使の3者がトラック運送業の改善に向けて方向性で一致していることを強調。引き続き政労使の相互理解と協力に基づき、業界全体の改善に向けて様々な取り組みを推進する姿勢を示した。
(2020年12月24日号)


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