「標準的な運賃」改定、方向性決まる=国交省
国土交通省は7日、「標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会」(座長=野尻俊明・流通経済大学名誉教授)の第3回会合を開催し、トラック運送の「標準的な運賃」と「標準貨物自動車運送約款」を見直す方向性を定めた。今月中旬に見直しの内容を公表した後、年明けに開催する予定の運輸審議会への諮問・答申などの手続きを経て、早ければ1月中にも新たな標準的な運賃、標準運送約款を告示する。
会合の冒頭、挨拶に立った長井総和大臣官房審議官(物流・自動車局担当)は「賃上げが大きな社会的課題となっているが、賃上げには原資となる運賃・料金の引き上げが不可欠だ。そのため標準的な運賃に対し、業界にとどまらず幅広い向きから関心が集まり、取引環境の改善に期待が寄せられている。関係者間でどのように標準的な運賃と標準運送約款を見直していくかが重要で、より実効性の高い枠組みを構築していきたい」と述べた。
運賃・料金の割増項目や特殊車両割増を追加
標準的な運賃の改定の基本方針は、①物価・コストの高騰に対応した価格転嫁の促進②トラック業界の多重下請構造の是正③多様な運賃設定――の3点。これらの方針により、タリフ形式で示されている運賃と燃料サーチャージについて、物価高騰分を踏まえて水準を引き上げる。運賃の引き上げ幅は調整中だが、概ね平均8%となりそうだ。
荷待ち・荷役や附帯作業について、待機時間料や積込料・取卸料など荷役料金に割増を適用する。現行では、荷主都合によって30分を超えて待機した場合、30分超過ごとの待機時間に応じた料金を収受する規定だが、政府が策定した「物流革新に向けた政策パッケージ」では、荷待ち時間を原則2時間以内としていることを踏まえ、2時間超の待機や荷役を対象に割増を適用する方向。
また、有料道路利用料は実費と規定しているが、個別に料金を示すよう見直し、有料道路を利用しないよう荷主から指示された場合も割増とする。特殊車両割増は、新たに海上コンテナ、タンクローリー、ダンプ車なども対象に加える。
多重下請構造の是正に向け、下請手数料の水準を一律の割合(%)として示す。下請手数料に関する規定は標準運送約款にも明記し、適切な支払いが行われるよう後押しする。
(2023年12月12日号)