国交省24年度予算、「24年問題」対策に総額482億円
国土交通省の2024年度予算がまとまった。一般会計の総額は5兆9537億円で前年度比1・01倍、東日本大震災復興特別会計は463億円(1・15倍)、財政投融資2兆789億円(0・89倍)となった。23年度1次補正予算2兆555億円を合わせ、年度の切れ目のない事業を実施する。物流の「2024年問題」対策には、24年度当初予算の123億7600万円(23年度当初予算対比5・71倍)と23年度補正の358億5900万円を合わせた482億3500万円(22・26倍)を充てた。国交省は超大型予算を活用し「24年問題」対策を強力に推進していく方針だ。
物流効率化や商慣行見直しを促進
24年度24年度当初予算と23年度補正予算を合わせた物流関連予算482億3500万円のうち、政府の「物流革新に向けた政策パッケージ」関連の予算では「物流の効率化」に434億8400万円(23年度当初予算比20・2倍)を計上し、そのうち財政投融資を活用した物流施設の整備やDX・GX投資の支援に322億円(16・1倍)を充てる。また、「荷主・消費者の行動変容」に4億4900万円、「商慣行の見直し」に2億4600万円を充てる。
具体的施策では、物流DXによる生産性向上や担い手の多様化の推進に24年度当初予算7800万円と23年度補正予算30億1000万円。物流施設などでのシステムや機器の導入費用や大型免許の取得費用を支援し、荷待ち時間の削減や荷役の効率化、多様な人材の確保を図る。
モーダルシフト倍増へ大型コンテナの導入補助
10年程度で輸送量・輸送分担率の倍増目標を掲げたモーダルシフト促進に関しては、23年度補正の58億円を充てる。物流総合効率化法(物効法)に基づきモーダルシフトの認定を受けた事業での31ft・40ftコンテナの導入を補助する、大型コンテナ専用トラック、フォークリフト、国際海上コンテナ用シャーシやGPS機器、船内ドライバー用施設、冷蔵・冷凍コンテナ、冷蔵・冷凍トラックなどの導入を補助する。また、空コンテナを可視化するシステムの実証や内航海運の新規需要獲得に向けた調査を実施する。
再生可能エネルギー電気の利用促進や、物効法に基づく脱炭素化事業など物流GXに24年度当初・23年度補正を合わせ16億8400万円を計上。非常用電源設備の導入支援に24年度当初と23年度補正を合わせ3億1100万円を充てる。物流情報標準ガイドラインの普及拡大と共同輸配送の促進と標準仕様のパレットの利用拡大に23年度補正の4億円を充てる。
財政投融資は当初予算が122億円となった。23年度補正の200億円と合わせた322億円を活用し、物効法に基づく認定をうけた物流施設や物流GX・DX関連設備の整備を行う荷主・事業者への支援を行う。
宅配の再配達を削減する取り組みには23年度補正の44億9000万円を充てる。消費者にポイント還元を行う実証事業や企業や荷主への啓発活動を実施する。
商慣行の見直しの取り組みでは、24年度当初3000万円と23年度補正2億1600万円を計上し、「トラックGメン」による荷主対策を継続・強化する。
「政策パッケージ」以外の施策では、日中韓3国のリターナブル物流容器の実証輸送や、ASEAN地域でのコールドチェーン物流サービスの国際標準化(ISO化)の取り組みに1600万円を計上した。
脱炭素化へ経産省・環境省と連携
経済産業省資源エネルギー庁との連携事業では、エネルギー対策特別会計(エネ特会計)から62億円の内数を計上し、配車計画・予約受付システムと連携した高度な車両管理や輸送機器の活用を通じた輸送効率化実証を支援する。
環境省と連携したエネ特会計による事業では、エネ特会計11億6500万円の内数を充て、可搬式バッテリーと再生エネを組み合わせたエネルギー管理システムで運用するEV車の普及促進や、共同輸配送とドローン配送を組み合わせた次世代型物流の構築を支援する。23年度補正予算409億円を活用したトラック・バス・タクシーのEV車普及促進も引き続いて実施するほか、低炭素型ディーゼルトラックの普及促進に29億6500万円、ハイブリットトラックや天然ガストラックの普及促進に3億3700万円を計上した。加えて、物流施設のCO2排出削減と再エネ設備の導入支援「サステナブル倉庫モデル促進事業」に23年補正予算61億7100万円の内数を充てる。
国交省鉄道局は貨物鉄道のネットワーク強化に取り組む。当初予算の事業費6700万円の内数と国費2000万円の内数に加え23年補正予算から国費5億9200万円の内数を計上し、自然災害による長期運休時の代行輸送を迅速化するため、貨物駅で積み替えを円滑に行えるよう施設整備を進める。モーダルシフトの促進と輸送効率化の取り組みも推進する。24年度当初予算と23年度補正予算の合計67億2500万円を計上し、40ftコンテナの輸送ニーズやトンネルなどを安全に通行するための方策や、新幹線による貨物輸送の拡大可能性を検証する。
(2024年1月4日号)