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トラックGメンの「集中監視月間」スタート=国交省

2023.11.16

国土交通省の荷主対策担当部署「トラックGメン」による「集中監視月間」が始まった。今月から来月にかけて実施するもので、荷主・元請事業者の違反原因行為の調査を踏まえ、「要請」や「勧告・公表」を集中的に行う。従来の荷主対策は地方運輸局レベルでの改善への「働きかけ」を基本としているが、11~12月の「集中監視月間」では「要請」「勧告・公表」を集中実施する考えが示された。社会的影響が大きいこともあり、これまで「勧告・公表」は行われていなかったが、「2024年問題」に対して「早期に具体的な成果が得られる施策」(岸田文雄首相)の実施が求められる中、「要請」よりも一段強い措置である「勧告・公表」が打ち出される可能性も出てきた。

情報収集の強化や省庁合同のヒアリングも実施

政府が先月2日に取りまとめた「物流革新緊急パッケージ」では、トラックGメンによる荷主・元請の監視体制を強化するため「集中監視月間」(11~12月)を創設し、荷主による違反原因行為の調査を踏まえ「要請」「勧告・公表」を集中的に行うことを明記した。集中監視月間では、国交省によるこれまでの調査やトラックGメンが収集した情報、国交省HP内に設けられた荷主情報の「目安箱」や、全国の運輸局・運輸支局の相談窓口から得られた情報などを照らし合わせ、荷主・元請に対する「働きかけ」「要請」「勧告・公表」を行っていく。改善協力を求める「働きかけ」は地方運輸局が行うが、「要請」「勧告・公表」は国交省本省が行う。

また、厚生労働省の「荷主特別対策専門官」や中小企業庁の「下請Gメン」と連携。運輸局のトラックGメンと労働局の荷主特別対策専門官、経済産業局の下請Gメンらが合同で荷主や事業者にヒアリングを行う。加えて、これまでのトラックGメンの電話や訪問によるプッシュ型情報収集を強化する。「要請」事例を示しながら、事業者や労働組合、都道府県トラック協会から荷主の違反原因行為に関する情報を収集し「働きかけ」「要請」につなげる。

なお、貨物自動車運送事業法による荷主対策制度が創設され、今年10月末時点までの実績は「働きかけ」が251社、「要請」は10社となった。「要請」に至った違反原因行為をみると、長時間の荷待ちが8件、契約にない附帯業務が1件、無理な配送依頼が1件、過積載の指示が1件だった(重複を含む)。トラックGメン制度が発足した7月21日から10月31日までの活動実績は「要請」が6件、「働きかけ」が166件となっており、Gメン制度以前の22年度が「要請」3件、「働きかけ」26件だったのと比べ、荷主対策が大幅に進捗していることがわかる。国交省HPの「目安箱」に寄せられる情報もトラックGメンの創設後は「急激に増加している」(国交省関係者)。

運輸局独自の取り組みも様々に進展

トラックGメンは電話と訪問によるプッシュ型情報収集を基本とした上で、運輸局・支局や関係機関での説明会やセミナーなど様々な機会を通じて情報収集を行っている。その上で、違反原因行為の疑いがある場合、荷主に対して文書により「働きかけ」を行う。運輸局によっては荷主を呼んで協力依頼書を手渡す場合もある。

集中監視月間がスタートする以前から、地方では独自の取り組みが進んでいる。

中国運輸局は電話・訪問による事業者からの情報収集に加え、違反原因行為をしている疑いのある荷主などの支店や荷捌き場周辺へ出向き、状況確認を行うパトロールを実施。パトロール時には事実確認や深掘りとともに「働きかけ」「要請」を実施済みの荷主の再度の違反原因行為の疑いなどを確認している。荷主・元請の事業場でのパトロール実施件数は8日現在、延べ400件となった。加えて月1回の頻度で荷主・事業者を対象に「2024年問題」を周知・啓発するオンライン説明会を開催している。

近畿運輸局では事業者への訪問を中心に情報収集を実施中。大阪運輸支局は先月31日、「大阪トラックステーション」(寝屋川市)でドライバーに対して情報提供を呼びかけたほか、「2024年問題」の周知などを実施した。

北海道運輸局は先月から経済産業局の下請Gメンと合同で荷主・事業者へのヒアリングを実施中。他省庁や北海道庁などが実施するセミナーなどの機会も活用し、荷主への啓発活動を推進している。

九州運輸局は電話・訪問による情報収集に加え、自動車事故対策機構(NASVA)が実施する運行管理者対象の一般講習の会場に出向き、荷主の違反原因行為に関するアンケート調査を実施している。先月3日には九州自動車道・基山PA(上り線・下り線)でトラックGメンがドライバーへの聞き取り調査を実施した。
(2023年11月16日号)


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