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「荷主・元請規制法案」は年明けに国会提出へ=国交省・鶴田自動車局長会見

2023.08.08

国土交通省の鶴田浩久自動車局長は3日、就任後初となる専門紙記者会見を開き、「荷主と元請物流事業者に対して規制的措置を実施するための法案を作成中であり、来年1月に召集される通常国会に提出する」と表明。「物流の『2024年問題』が喫緊の課題だが、24年以降を含めた中長期の視野から物流の革新に取り組む必要もある。荷主と物流事業者がお互いにWIN‐WINの関係となり、ひいては社会にとっても益するという『三方良し』の実現を目指したい」と意欲を語った。また、7月21日に創設した「トラックGメン」を活用し、厚生労働省と緊密に連携しながら荷主対策を強化する考えを表明した。

規制法案は作成に着手、自主行動計画の提出に期待

鶴田氏は7月4日付で自動車局長に就任した。国交省は10月1日に総合政策局内の物流部門を自動車局に移管し、新たに「物流・自動車局」を発足させ、鶴田氏は初代局長に就任する。組織改正に伴う業務の停滞を避けるため、すでに鶴田氏が自動車局と併せて物流部門も所管している。

国交省は経済産業省、農林水産省とともに、物流の生産性向上や担い手不足の解消、カーボンニュートラルへの対応など物流の様々な課題に対応するため「持続可能な物流の実現に向けた検討会」を発足し、改善方針と具体策の方向性を示した。また、6月2日に政府は「物流革新に向けた政策パッケージ」を取りまとめた。「政策パッケージ」は荷主と物流事業者間での物流負荷の軽減をはじめ、物流産業における多重下請構造の是正や、荷主企業の経営者層の意識改革と行動変容を促す規制を実施する制度を創設することが明記され、24年通常国会に法案提出することとしている。

鶴田氏は「政策パッケージ」に盛り込まれた施策を具体化することが当面の最重要の課題だと述べた上で、荷主や元請事業者を規制する法案は「来年年明けに国会に提出スケジュールであり、すでに法案作成のプロジェクトチームが作業を始めている」と明かした。

また、「政策パッケージ」と同時に、国交省・経産省・農水省が公表した「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」に基づき、荷主・事業者には自主行動計画を作成してもらい、法令に基づく規制的措置が実施されるよりも前から、積極的な物流改善に取り組むことへの期待を表明した。

厚労省との連携強化で一歩踏み込んだ荷主対策へ

貨物自動車運送事業法は、これまで時限措置となっていた「標準的な運賃」制度と「荷主対策」制度を当分の間延長することとなり、6月16日に公布・施行された。同法に基づく荷主対策を一層強化するため、国交省は7月21日、合計162人体制の「トラックGメン」を創設した。これについて鶴田氏は、「トラックGメンが行った調査結果は、荷主・元請への『働きかけ』『要請』などに活用し、実効性のあるトラック物流の課題解決を図る。当局から働きかけられた荷主・元請が自主的に改善に取り組むことが望ましい。働きかけを行う際には他省庁との連携も視野に入れている。先日も厚労省と会合を持ち、荷主対策の実効性を一層高められるよう連携を図っていくことで合意した」と述べ、トラックGメンの創設に伴い、従来よりも一歩踏み込んだ荷主対策を行っていく姿勢を示した。

厚労省は昨年12月に都道府県労働局に荷主対策特別チームを設置。4月1日から活動を開始した。同チームはトラックドライバーの長時間労働の是正のため、発着荷主に対し、長時間の荷待ちを発生させないよう要請するほか、時短の成果を上げている荷主の好事例を提示するなど、改善を行うよう働きかけていく。国交省のトラックGメン創設を機に、国交省と厚労省が〝タッグを組んだ〟一層の荷主対策が実施されそうだ。

鶴田浩久(つるた・ひろひさ)1990年東大法卒。同年運輸省(現・国土交通省)入省。自動車局旅客課長、東京航空局長、航空局航空ネットワーク部長、鉄道局次長を歴任。2022年6月大臣官房公共交通・物流政策審議官、23年7月自動車局長(物流・自動車担当)に就任。67年生まれ。北海道出身の55歳。学生時代はホッケー部で鍛えた。「もう少し涼しくなったら休んでいたランニングを再開し、マラソン大会出場を目指す」。
(2023年8月8日号)


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