キユーピー/ヤマト運輸、食品直販サイトの流通スキーム構築
キユーピー(本社・東京都渋谷区、髙宮満社長)とヤマト運輸(本社・東京都中央区、長尾裕社長)は28日から開始するキユーピー初の食品直販サイト「Qummy」の流通スキームを共同で構築した。3温度帯(常温・冷蔵・冷凍)商品のみならず、消費期限が短いパッケージサラダなども品質を維持したまま食卓へ直送できる仕組みとし、まずは関東1都6県を対象に販売する。これに先駆け、21日には同サービスの発表会が開かれ、両社の関係者が登壇した。
Qummyは、サラダをはじめとする“野菜料理を楽しむための”商品とレシピなどの情報を届けるD2C(消費者直販サイト)サービス。購入者自身が選んで作るカスタマイズサラダのほか、オリジナル商品のドレッシング(冷蔵)やスープ(常温)、惣菜サラダ(冷蔵)、プラントベースフード(冷凍)など、サービス開始当初は65SKUをラインナップする。
ファミリー層をメインターゲットに据え、今後はミールキットの販売も予定。キユーピーグループの強みである「サラダ」と「食卓」の提案力を発揮するとともに、D2Cサービスで消費者と直接コミュニケーションが取れる環境を作ることで、収集したデータの分析に基づく商品開発にもつなげる。まずは3年を目途に登録会員数10万人を目指す。
ヤマト運輸はQummy商品の一時保管や配達などのロジスティクスを担当する。具体的には、「厚木ゲートウェイ」に併設する「厚木ロジセンター」(神奈川県愛川町)に、ドレッシングやスープといった加工食品の在庫を3温度管理で保管。消費期限の短いパッケージサラダはQummyへの注文を受けてから生産され、工場から厚木ロジセンターに搬入された上で、他の加工食品などと“マージ”(同梱)して購入者へクール宅急便で届けられる。
厚木ロジセンターではパッケージサラダが納品された即日に出荷することが特長。センター内ではキユーピーの工場レベルの商品品質管理を行うことで「工場直送」の品質で発送する。まずは注文4日後配達を最短リードタイムに設定するが、将来的には注文翌日配達への対応も視野に入れる。なお、同事業の開始に当たっては、厚木ロジセンターの宅急便仕分けターミナルで3温度帯出荷施設を増設するとともに、販売エリアの拡大に備え、大阪南港地区のターミナルも同様に3温度帯出荷施設を増強している。
ヤマト運輸ではロジスティクス機能に併せて決済機能とコールセンター機能も提供。決済では、クレジットカード決済と代引きを合わせての清算に対応することでキユーピーの事務作業を軽減する。コールセンターでは配送部門との連携により、迅速な顧客対応を実現。発表会でヤマト運輸執行役員ナショナル法人営業部長の稲森浩司氏は「キユーピー様がマーケティングや販売拡大に注力できる環境とした」と説明した。
両社による協議は昨年4月から本格的にスタートし、稲森氏は「消費期限が短いために受注生産となるパッケージサラダなどは従来取り扱いが難しかった商品だが、当社の経営資源を活用することで必要最小限の投資かつ短期間で流通スキームを構築できた」と紹介。キユーピー上席執行役員カスタマーサクセス室室長の藤原かおり氏も「Qummyのメイン商品はサラダだが、提案するパッケージサラダは消費期限短くて3日間。短い消費期限の商品をいかに届けるか――食品メーカーとしておいしさと鮮度は絶対に落とせない中、難しい課題を解決するためにヤマトとパートナーシップを組み、共同で最適な流通スキームを構築できた」とした。
同社上席執行役員カスタマーサクセス担当の山本信一郎氏も「当社のやりたいことを一番理解していただき、安心・安全に届けたいという思いに共鳴してもらえたのがヤマトさん。3温度帯の物流システムや決済、コールセンター機能など一気通貫でD2Cを支える機能を持っていることも魅力だった」と連携の背景を語った。
(2022年9月27日号)