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宅配大手3社、23年度上期の取扱個数は前年割れ確実に

2023.10.19

宅配便の取扱個数が前年割れで推移している。宅配大手3社のうち、ヤマト運輸と佐川急便の2023年度上期(4~9月)の実績は前年同期を下回った。日本郵便は8月までの実績で前年をわずかに上回っているものの、3社合計の上期実績では前年割れがほぼ確実。昨年後半からの物価上昇に伴う消費活動の低迷が大きく影響しており、いまだ好転の兆しは乏しい。このままの状況が続けば、23年度通期でも前年割れは避けられない情勢だ。

ヤマト、佐川のトップ2が個数減に

ヤマト運輸の23年上期の宅配便(宅急便、宅急便コンパクト、EAZY、ネコポス)取扱個数は11億2400万個となり、前年同期比2・2%減となった。佐川急便の飛脚宅配便の個数も6億5500万個、前年同期比2・7%減となり、トップ2がそろって前年割れに沈んだ。

3位の日本郵便は、前期からの反動増もあって8月までの実績で1・9%増の4億55000万個となっているが、8月単月では前年割れになるなど足元での動きは鈍く、上半期の3社合計の取扱個数が前年実績を下回ることはほぼ間違いない。
なお、3社の取扱個数の合計は宅配便全体の95%(22年度実績)とほぼ寡占状態となっており、3社の実績が前年割れになったということは、宅配便全体もマイナスに陥っているということとほぼ同義となる。

足元のEC需要も弱含みで推移

宅便便の取扱個数の伸びに陰りが出始めたのは、昨年下期から。原材料価格の上昇などにより企業の商品値上げが相次ぎ、消費活動が減退したことがEC需要にも直撃した。また、コロナ禍が緩和したことで実店舗への回帰が進み、EC需要に影響をおよぼしているとの指摘もある。あるEC関係者は「コロナ禍でEC市場は大きく成長したが、足元の消費低迷とあいまって若干の踊り場を迎えている」と述べるとともに、「ただ、これは一時的なもので、再び消費が上向けばEC市場はまだまだ成長していく」との見方を示す。

しかし、今のところ、消費回復の傾向は見えておらず、今年度通期での前年割れは避けられないとの悲観的な見通しが支配的だ。大手3社の実績は、コロナ初年度となった20年度が前年度比12・4%増の45億3300万個、翌21年度が2・2%増の46億3200万個、22年度は1・0%増の46億7800万個と、年を追うごとに伸び率が鈍化している。
(2023年10月19日号)


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