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宅配大手3社、23年度実績計は前年割れに

2024.05.14

2023年度の宅配便大手3社(ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便)の取扱個数の合計は前年度比1・0%減の46億2900万個となった。3社のうちヤマト運輸、佐川急便の2社は前年割れとなり、日本郵便だけが前年実績を上回った。一昨年秋以降、原材料コストの高騰を背景に消費財を中心に商品価格の値上げが続き、消費マインドが冷え込んだことで、ECを中心に宅配需要にブレーキがかかった。今年度(24年度)については、下期以降の需要回復を見込んでおり、年度トータルでは小幅な伸びにとどまりそうだ。

トップ2がそろって前年割れに

23年度の大手3社合計の取扱個数は、46億2900万個となり、22年度比で1・0%減、個数ベースでは約4900万個の減少となった。

20年度以降の大手3社の取扱個数を振り返ると、コロナ初年度だった20年度は在宅が増えたことによって通販需要が爆発的に増加し、3社計で前年度比5億個増(12・4%増)の45億3300万個を記録。翌21年度はその反動減もあって伸び率自体は2・2%増にとどまったが、個数ベースでは前年比で約1億個の増加となった。さらに、22年度は下期以降需要が停滞し、伸び率が1%増の微増にとどまるとともに、3社のうち2社が前年割れになるなど成長が鈍化した。

それを受けた23年度は、22年度下期からの停滞モードが引き続き、前年割れ基調で推移。その結果、ヤマト運輸と佐川急便の2社が前年割れになるなど、ECを中心に個人消費の伸び悩みによる減速が浮き彫りになった。

日本郵便はポスト投函商品がけん引

各社の実績を見ていくと、ヤマト運輸は22億9500万個となり、前年度比1・9%減、前期から約4400万個の減少となった。年度を通して前年割れが続き、前年実績を上回ったのは2ヵ月のみだった。

佐川急便の「飛脚宅配便」実績も13億2500万個、前年度比2・5%減、個数ベースで3400万個の減少。同社の年間を通じてマイナス基調で推移し、前年実績を上回ったのはヤマトと同様に2ヵ月のみにとどまった。

一方で、唯一、前年実績を上回ったのが日本郵便で、前年度比3・0%増の10億900万個となり、前年度から約2900万個の増加となった。ただ、内訳を見ると、ゆうパックのみの取扱個数は1・3%減の5億4700万個にとどまっており、ポスト投函型のゆうパケットの伸びがけん引しているのが実態となっている。

今期は下期に需要回復か

今期の見通しについては、少なくとも上期については個人消費の伸び悩みが続くことが予想されるが、通期では若干の伸びを見込んでいるようだ。

そうした中で、ヤマト運輸は前期比3・2%増の23億6800万個とやや強気の見通しを示している。ポスト投函型宅配便(ネコポス・クロネコゆうパケット)については日本郵便への委託が高まる中で取扱個数の減少を見込む一方、主力3商品(宅急便・宅急便コンパクト・EAZY)にリソースを集中することで反転回復を見込む。

佐川急便はデリバリー事業全体で微増を見込んでおり、日本郵便は事実上、市場を独占しつつあるポスト投函型サービスの伸びがカギを握りそうだ。
(2024年5月14日号)


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