「重要物流道路」で生産性向上へ=国交省・池田道路局長会見
国土交通省道路局の池田豊人局長(写真)は4日、就任後初の専門紙との記者会見を開き、「物流の生産性向上や平時や災害時を問わない安定的な輸送を確保するための道路整備を重点的に実施していく」と述べ、「世界に伍していける強い日本を支えるために、どのような道路整備が必要になるのか、しっかりと検討していく」と表明した。
来年3月までに「重要物流道路」を指定
池田局長は「今国会で成立した道路法改正により、物流上特に重要な道路区間を国土交通大臣が『重要物流道路』に指定する制度が創設された。その区間では、国際海上コンテナ車(40ft背高)など超大型車両に対応して構造を強化することに加え、災害時での地方道での救援ルート開設や復旧などを国が代行できるようにした」と説明。
同制度を活用することで、ドライバー不足などを背景に増加している海コン車(40ft背高)の円滑な走行を実現するため、走行経路や重量などが確認できる車両の特別通行許可の取得を不要にし、物流生産性の向上を図る。
重要物流道路の指定については「高規格幹線道路をはじめ、地域高規格道路、直轄国道、空港港湾など物流拠点にアクセスする一般道などから選定し、いくつかの道路を指定できるよう調査・検討を行っている。来年3月までに指定を行い、必要であれば来年度に追加を行う」と語った。
また、同制度には災害時の安定的な輸送を確保する目的もある。背景には2016年4月の熊本地震で災害時の緊急輸送道路での被害が多発したため、被災地への支援物資の円滑な輸送が困難になった状況があった。
そこで、自治体が管理する重要物流道路やその代替・補完路などとなる道路を対象に、国が自治体に代わって救援ルート開設や災害復旧を行えるようにした。
その他に池田局長は、「関東エリアでも内陸部に多数の物流拠点ができてきている。こうした動きに即応し、物流ネットワークを強化するため、特に三大都市圏環状道路などを中心に、根幹的な道路網の整備も重要な取り組みであり、しっかりと推進していく」と表明した。
7月現在、三大都市圏環状道路整備率は約80%となっている。今後は整備を加速し、生産性向上を図る考え。
ダブル連結車の普及へ、高速のSA・PAを整備
新東名高速で実施しているダブル連結トラック(フルトレーラ)の実証実験について、「輸送分野の生産性向上を図るため大型車両の普及に向けた取り組みとして実施しており、すでに民間事業者では24mのダブル連結車両の活用が始まっている」と述べ、「幹線道路での普及をより一層促進するためには、高速の車線に余裕が必要だと考えている。SAやPAでの駐車マスの整備をはじめ、環境整備を推進していく」とした。
中山間部の自動運転サービスは20年までに実用化目指す
また、中山間部での道の駅を拠点とした自動運転サービスについて「ドライバー不足などによる地域の方々の交通の不便性を解消し、人流と物流を支えるために必要な取り組みだ。道路行政として積極的に取り組んでいく」と述べ、「今後は実証実験の結果を踏まえ、来年度中に報告書を取りまとめ、20年までに中山間部地域での実用化を目指す」と述べた。
自動運転を活用したトラック隊列走行については「走行実験を踏まえ、インフラ面での事業環境を整備していく」と述べ、「国交省と経産省で設置した自動走行ビジネス検討会などを活用し、官民での役割分担を含めて検討していく」と語った。
(2018年10月11日号)