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【物流倉庫】内陸拠点ニーズにも柔軟に対応=三菱倉庫

2017.11.16

三菱倉庫(本社・東京都中央区、松井明生社長)は、コンスタントに国内での拠点開設を続けている。当然、需要の裏付けがあった上での投資だが、ここ10年で見ると、ほぼ2年に1施設程度のペースで新倉庫を稼働させている計算だ。
「当社は港とともに社業が発展してきた歴史があり、6大港を中心に倉庫展開を進めてきた。いまもその形は変わらない」。倉庫事業部の渡辺周平業務課長は、同社の倉庫投資への基本的な考え方についてそう語る。ただ、近年では港湾地区に立脚しつつも、内陸部への展開が無視できないトレンドになっていると指摘する。「港湾地区は輸出入貨物を扱う上で依然として重要だが、最近ではBCPの観点などから内陸に在庫拠点を構えたいというニーズも増えてきている」という。

関西地区で2ヵ所の内陸型倉庫を建設中

同社が現在、建設を進めている関西地区の2拠点とも内陸型の倉庫。

来年3月に竣工予定の「西神配送センター」(神戸市須磨区)は延床面積約6万500㎡の大型拠点で、同社施設としては初のランプウェイを設けた倉庫となる。神戸支店の管轄エリアでは初めての内陸型倉庫でもある。東京支店は埼玉、横浜支店は厚木、名古屋支店は小牧、大阪支店は茨木、福岡支店は佐賀という形で各支店とも内陸倉庫を保有していたが、神戸支店にはなく、「内陸倉庫を持つことで多様な物流ニーズに応えたいという要望が以前から強かった」(山下浩司・業務課長代行)と建設の経緯を語る。同センターでは医薬品や食品、日用品など幅広い品目を取り扱い、西日本エリアを視野に入れた物流拠点としての優位性をアピールしていく。

もうひとつ建設中なのが「茨木4号配送センター」(大阪府茨木市)で、来年7月の竣工予定。延床面積約2万3500㎡の医薬品対応倉庫だ。三菱倉庫は国内の名だたる医薬品メーカーの物流業務を受託していることは広く知られているが、拠点は埼玉地区(三郷・八潮)と大阪・茨木地区の東西2拠点に集中している。「医薬品メーカーはBCP対応面から、内陸部に拠点を設けるニーズが高い」(渡辺氏)という。また、同社としても専用拠点をドミナント展開することで、作業や輸配送の効率を高めることができるメリットがある。

北海道での医薬品共同物流センター運営を担当

医薬品物流では今年2月、アステラス製薬と武田薬品工業、武田テバファーマ、武田テバ薬品の4社が北海道地区で共同保管・共同輸送を構築することを発表したが、この物流業務も三菱倉庫が運営を担う。具体的には、三菱倉庫は元請けとなり、札幌市内にある協力先の倉庫に製品保管を寄託する形で運営する。共同物流センターは来年1月に稼働開始する予定で、北海道地区における安定供給体制の確立に加え、共同化による輸送の効率化や品質向上などを実現していく。

すべての倉庫が高稼働を維持、今後は更新によるS&Bも増加

コンスタントに国内倉庫への投資を継続している同社だが、キャパシティが増えても常に8割以上という高い稼働率を維持している。「あくまで確実なニーズがあることを前提に、成長のための倉庫への投資は今後も継続していきたい」(渡辺氏)と語る。ただ、その一方で、今後は既設倉庫の老朽化に伴う更新需要も増えてくるという。倉庫の更新時期はあくまで個体判断となるが、「仮にS&Bすることになれば、保管貨物をどこに移すかなどを含め計画的に進めなければならない」(山下氏)という。

また、「倉庫会社として自前の倉庫を建てて貨物を保管することが基本中の基本」(渡辺氏)としながらも、一方で案件によっては物流不動産施設を賃借するなど、柔軟なスタンスも維持していく考えだ。
(2017年11月16日号)


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