日販、新座の物流拠点が稼働、物流再編P第1弾
日本出版販売(日販、本社・東京都千代田区、奥村景二社長)は7日、持続可能な出版流通の実現に向けて、日販グループ全体で取り組む「物流再編プログラム」の第1弾として着手していた新拠点「N‐PORT新座」(埼玉県新座市、写真)を開設した。延床面積約2万5310㎡で、最新のロボティクス技術を導入。文具雑貨商品等の保管および仕分・出荷のほか、出版社からの物流受託事業の拡張、他社からの物流業務受託(3PL)の拠点としても運用していく。
自在型自動倉庫、高速仕分けシステム導入
日販は持続可能な出版流通の実現に向けて、2023年から日販グループ全体での「物流再編プログラム」を実行している。同プログラムでは、様々な商材・商流に対応した機械設備や、日販グループを横断した新しい倉庫管理システムの構築、そしてロボティクスなど最新の技術を取り入れることで、ハード面からもソフト面からも「汎用性」「柔軟性」「高い生産性」をコンセプトに、取引先の売り場の変化を支える物流の実現を目指す。今回開設した「N‐PORT新座」は、それらを体現した第1弾の拠点となる。
「N‐PORT新座」は7日から王子流通センターから移管した雑貨の出荷を開始。10月中旬に日販グループ内のカルチュア・エクスペリエンスで扱う文具の移管・出荷を開始し、11月上旬には王子流通センターから文具を移管し本格稼働する予定。同拠点では、文具雑貨の出荷からスタートし、今後は出版物の取り扱いも予定している。
同拠点には、自在型自動倉庫「ラピュタASRS」を導入し、効率的な在庫管理機能、ピッキングシステムを実現。細かいアイテムを効率よく管理する能力を有し、自社比で通常2~3倍の効率で商品の入荷検品・格納が可能となっている。また、椿本チエインの高速アソートシステム「リニソート」を採用。ソーターがループ式になっていることにより、一般的なストレートソーターに比べ、効率よく商品を仕分けられる。
ESGへの取り組みでは、太陽光発電設備を設置することで、年間503t‐CO2相当の発電を可能とした。1坪あたりの年間CO2排出量を566t‐CO2相当(王子流通センターの約4分の1)と見込んでおり、実質CO2排出量は年間63t‐CO2になる。このほか、大型シーリングファン「HVLSファン」の導入により、作業所内に気流を発生させ、夏期は力強い風が体感を約4℃下げ、秋から春までは、天井の暖かい空気を空間全体に行き渡らせて快適さを提供。空調電力は従来のセンターと比較しておよそ12%以上の節約が見込まれ、湿度は約6%下がるため、結露対策としても有効。自然環境だけでなく、働く人にとっても安心・安全に作業できる職場環境を整備した物流センターとして、持続可能な物流を実現する。
BCP対策では、法令で定められた耐火性能を有するだけでなく、耐震性や強度、遮熱性、遮音性に優れた性能を確保。構内に災害用備蓄品を常設し、災害発生時には構内の従業員のみならず、近隣住民への支援を行うことも想定している。
竣工にあたり奥村社長は関係者に謝辞を述べたうえで、「『N‐PORT新座』は、日販が今まで出版流通で培ってきたノウハウをベースに新たなテクノロジーを加えた、機能的かつ汎用的なセンターだ。その機能性と汎用性を活かし、我々の祖業である出版物の取り扱いはもちろんのこと、文具・雑貨を中心とした様々なアイテムを扱うことで業量拡大を果たし、日販グループにとっても、お取引先の皆様にとっても『持続可能な出版流通』を実現する」と挨拶した。
(2024年10月15日号)