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コアスタッフ、長野・佐久市に半導体向け物流拠点新設

2024.09.10

半導体・電子部品のECサイト「コアスタッフオンライン」を運営するコアスタッフ(本社・東京都豊島区、戸澤正紀社長)は3日、長野県佐久市で稼働を開始した新たな物流拠点「Zero Hub(ゼロハブ)」(写真)の開所式を行った。半導体・電子部品の長期保管に特化した物流拠点として運用し、EC事業や物流受託サービスの強化を図るとともに、今後は「2024年問題」対応として新幹線を利用した都内向け輸送も視野に入れる。

最大100万点を保管可能自動倉庫やAGVも導入

同センターは、延床面積約1万5020㎡の4階建て。上越自動車道「佐久IC」から車で10分の距離に位置している。建設費や設備の導入費用などを含めた投資額は約50億円。同市の長土呂地区にある既存の物流センターを移転したもので、延床面積は旧拠点の約5倍となり、50万~100万点の在庫保管に対応する。さらに、最大出荷件数は倍増となる年約120万件となる見込みで、1時間あたりのピッキング速度は6倍以上となる2000件に強化した。

施設内は1階が入出荷や検品、解析のエリアとなり、出荷・ピッキングステーションと接続した村田機械製の大型自動倉庫が2基稼働。1号機は保管数が7488ケース、入出庫能力が1時間あたり450ケースで、おもに商品を1個単位から購入できるサービス「ひとつから」向けの製品保管に対応する。2号機の保管数は7056ケース、入出庫能力は1時間あたり2000ケースで、おもに入荷製品の一時保管に利用する。両倉庫での在庫保管可能点数は計10万点となり、さらにもう1基を追加で設置できる吹き抜けスペースも設けている。加えて、ZMP製のAGV(無人搬送車)を2台導入しており、エレベータと連動して2階から1階への製品の搬送を行う。2~4階には段ボールなどで製品を保管する棚を計860台設けた。また、パレットで保管するエリアや部屋を施錠して保管するエリアも整備した。

さらに、施設内には託児所を設けており、従業員の育児をサポートする。環境面では、太陽光発電設備を設置して発電した電力を自家消費するほか、発電した余剰電力を蓄える蓄電池を完備する。加えて、電源を別変電所から2系統受電することで、災害時における最低限のオペレーションを可能にする。

保管・出荷能力活かし物流受託サービスを強化

開所式で戸澤社長は「半導体・電子部品の長期保管を目的とした施設で、『Zero Hub』ほど大きな規模の施設は滅多にない」と強調。同拠点はコンセプトとして3つの「0」を掲げており、「豊富な在庫を保有して即日出荷を可能にすることによるリードタイム『0』、余剰在庫を世界中の顧客へ販売することによる余剰在庫『0』、太陽光発電で使用電力を100%カバーする温暖化ガス『0』を実現する」と説明した。コアスタッフでは在庫保管・入出荷作業といった物流業務の受託サービスを手がけており、今後は「Zero Hub」の保管・出荷能力を活用したサービス強化を図る。将来的には拠点の増床や別地域での展開も視野に入れていく。

このほか、北陸新幹線「佐久平駅」が近いことから、輸送力不足などの「2024年問題」に対応するため、都内向けなどで新幹線を利用した輸送も検討していく。戸澤社長は「朝から新幹線で輸送すると、前日夜からトラックで配送した場合とほぼ変わらない時間帯に荷物を東京まで送れる」と見込み、ジェイアール東日本物流の列車貨物輸送サービス「はこビュン」などの利用も視野に入れる。しかし、新幹線の停車時間が45秒程度しかないことに加え、製品の品質維持、車両内への持ち込み方、荷物の受け渡し方といった課題があるため、「自治体とも協議しながら運用方法を検討していきたい」(戸澤社長)と説明した。
(2024年9月10日号)


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