本牧~宇都宮間で海上コンテナを鉄道輸送=日本通運/神奈川臨海鉄道
日本通運(本社・東京都千代田区、竹添進二郎社長)とJR貨物グループの神奈川臨海鉄道(本社・川崎市川崎区、飯田聡社長)は16日、横浜本牧駅~宇都宮貨物ターミナル駅間で国際海上コンテナの鉄道輸送を開始した。日産自動車が栃木工場向け輸入自動車部品の一部をトラックから鉄道に転換するモーダルシフトの取り組みの一環として利用する。同日、関係者が出席して横浜本牧駅で貨物列車の出発式が行われた。
今回の取り組みは、JR貨物が今年3月のダイヤ改正で新設した横浜本牧駅~宇都宮タ駅間における海上コンテナ輸送ルートを活用。日産自動車の栃木工場で生産されるEVクロスオーバー「日産アリア」の生産用輸入部品を積載した40ftコンテナを積み替えることなく、ダイレクトに鉄道輸送する。日産の本牧専用埠頭と横浜本牧駅が近接している地の利を活かし、中国などから輸入した生産用部品を同埠頭で陸揚げし、貨物列車にスムーズにつなぐ仕組みを構築した。
輸送量は1日あたり40ftコンテナ2本で、週5日の輸送が基本。これは横浜~栃木間をトラックで輸送する「アリア」の生産用部品の約5割に相当する。今回のモーダルシフトによるCO2排出量削減量は年間140tを見込んでいる。
日本通運は、これまでも関東~九州間などの長距離区間で12ftコンテナなどを使用した日産の部品輸送を行ってきたが、40ft海上コンテナを使い、なおかつ143㎞という中距離区間でのモーダルシフトは初めてとなる。
日通・杉山副社長「スキームさらに拡大」
16日に横浜本牧駅で行われた出発式には、主催者である日本通運、神奈川臨海鉄道の関係者をはじめ、日産自動車やJR貨物、横浜市港湾局の関係者が来賓として出席した。
日本通運の杉山千尋副社長は、「2024年問題」の解決に向けたモーダルシフトの重要性を強調した上で「これまでは、輸入した海上コンテナからトラックへの積み替え作業が生じていたが、ダイレクトに列車に載せることができるようになり、荷役作業にかかる労働力や時間が大幅に短縮できる。このスキームをさらに拡大していきたい」として、輸送量や区間の拡大に意欲を示した。また、神奈川臨海鉄道の飯田社長は「横浜本牧駅は鉄道での40ft海上コンテナの取り扱いに適した設備を有しており、日産自動車には、貨物列車を横浜港と栃木工場とを結ぶ物流のベルトコンベアとして活用してほしい」と述べた。
来賓として挨拶した日産自動車サプライチェーン本部日本物流部の高草誠部長は、今回の取り組みについて「物流業界の課題解決に寄与するだけでなく、鉄道輸送した部品を使ってカーボンニュートラルに貢献できる『日産アリア』というEVを生産できることは大きな一歩だ」と関係者に感謝の意を表した。続いて、横浜市港湾局の新保康裕局長とJR貨物の高橋秀仁執行役員が来賓として祝辞を述べた後、関係者によるテープカットを行われ、貨物列車の出発を見送った。
(2024年10月22日号)