全国通運連盟がJR貨物や国と協力、鉄道輸送の拡大へ
全国通運連盟(齋藤充会長)は24日、中国地方通運業連盟と共同で「第6回通運事業フォーラム」を開催した。同フォーラムは通運事業の課題について事業者間で情報共有を図り、事業の発展につなげることを目的として例年開催している。今回はローランドベルガー・パートナーの小野塚征志氏が「物流情報の標準化とフィジカルインターネットの実現に向けた歩み」と題して基調講演を行った後、日本電気スマートILM統括部の梅田陽介氏とヤマトグループのSustainable Shared Transport(SST)社長の高野茂幸氏が共同輸配送をテーマとした事例発表を行った。
開会に際して挨拶に立った齋藤会長は「日本経済は緩やかな回復が期待されているものの、欧米の高金利水準の継続や、中国の不動産市場の停滞に伴う影響など海外景気の下振れが国内の景気を下押しするリスクとなっている」と足元の経済状況に触れ、国内外のリスクがもたらす不安定要素について言及。そのうえで「物流に関しては『2024年問題』に対応し、政府は昨年に『物流革新に向けた政策パッケージ』と『物流革新緊急パッケージ』を取りまとめて課題克服への道筋を示した。また、官民の物流関係者が参画する『官民物流標準化懇談会のモーダルシフト推進・標準化分科会』が昨年11月に鉄道へのモーダルシフトを一層拡大する計画を提示した。国の予算についても今年度はモーダルシフト加速化緊急対策事業を盛り込み、さらに来年度予算でもモーダルシフトを協力に推進するための予算要求を行っている」とモーダルシフトの拡大に向けて国の支援が強化されている状況を指摘。「当連盟も、こうした一連の動きと同調するために、本日臨時総会を開催し、今年度の事業内容の変更を行った。今後も当連盟は国の施策やJR貨物の取り組みに協力し、鉄道貨物輸送の普及・拡大に向け努力していく」と意欲を表明した。
DX活用で持続可能な物流の実現へ
ローランドベルガーの小野塚氏は、21年に策定された「総合物流施策大綱(2021年度~25年度)」から5月に公布された改正物流法に至る国の物流政策を説明した後、物流DXによるサプライチェーンの効率化と全体最適を目指すフィジカルインターネットの理念を説明。荷主と物流企業の双方が利益の最大化を図る理念を共有し、物流革新に取り組む意義を強調した。
日本電気の梅田氏は、同社が提供する共同輸配送プラットフォームにより、効率的なモーダルシフトを可能とするルートの構築や、共同運行のパートナー選択、リードタイムの調整などが可能となることを説明した。加えて、モーダルシフトを組み込んだ物流ネットワークを構築することで安定的で持続可能なサプライチェーンの実現を目指すと述べた。
SSTの高野氏は、共同輸配送のオープンプラットフォームを構築することで、荷主と物流事業者の双方にメリットのある物流の実現を目指す同社のミッションについて表明。現在展開中のパレット化した混載貨物の定時運行を中継方式で輸送するサービスなどを紹介した。
(2024年10月29日号)