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東海運、福岡県朝倉市に危険物総合物流拠点を開設

2024.10.03

東海運(本社・東京都中央区、松井伸介社長)は9月30日、福岡県朝倉市で危険物倉庫2棟、ISOタンクコンテナ保管施設(危険物屋外貯蔵所)、空コンテナのインランドデポで構成される新たな危険物総合物流拠点「危険物マルチワークステーション(MWS)・朝倉サイト」の竣工式を開催した。化粧品製造業、医薬部外品製造業(包装・表示・保管)の許可を取得し、東海運として化粧品物流を本格的に開始。既設の北九州・新門司地区の「危険物MWS・新門司サイト」とあわせて九州エリアで旺盛な危険物物流のニーズに応えていく考えだ。

危険物倉庫2棟、タンクコンテナの実入り保管も

東海運の九州エリアでの危険物物流事業は、これまで門司港をバックに持つ北九州地区を中心に展開してきた。2019年4月には新門司地区で「危険物MWS(現危険物MWS・新門司サイト)」を開業。定温庫を含む危険物倉庫3棟(計約3000㎡)、危険物屋外貯蔵所(92TEU)、荷姿変更や加温を行える一般取扱所、高圧ガス貯蔵所、屋外ドラム貯蔵所(約2000本)、空コンテナインランドデポなど多機能拠点として運営している。

九州最大の港である博多港を活用した危険物物流事業の拡大を見据え、福岡県朝倉市に約2万1000㎡の用地を確保し、MWS第2弾として「危険物MWS・朝倉サイト」を建設。大分自動車道朝倉ICに至近で、九州の交通結節点として物流の要所である鳥栖JCTとのアクセスも良く、博多港、福岡空港まで車で40分圏内の好立地。新門司と朝倉の2拠点体制で九州エリアの多様な危険物物流ニーズを取り込む。

「危険物MWS・朝倉サイト」は、危険物倉庫2棟(計2000㎡)、危険物屋外貯蔵所(収容能力96TEU)、空コンテナのインランドデポ(約120TEU)で構成。危険物倉庫は消防法危険物第4類、第5類に対応。保税蔵置場とし、化粧品メーカーの輸出拠点として化粧品製造業、医薬部外品製造業(包装・表示・保管)の許可を取得。ピッキングや詰め替え作業なども行う。

危険物倉庫2棟は両面に入出庫口を有する効率的な設計。スプリンクラーを設置し、様々な貨物に対応できるように泡消火設備を採用した。危険物倉庫1棟はソーラー発電システムを活用。また、インターネットのアクセスポイントを設け、デジタル化された在庫管理を行える環境を整えた。荷役機械としては、45tリーチスタッカー(KALMAR製)を配備。なお、危険物倉庫3棟を増設できるスペースがあり、当面はインランドコンテナデポとして運用する。

同拠点を活用した新たな物流スキームも積極的に提案していく。危険物倉庫にインランドデポを併設しているため、博多港からの輸出の際にインランドデポから空コンテナを調達でき、ドレージ距離の短縮につながる。空コンテナを搬入した車両が「危険物MWS・朝倉サイト」でバンニングされた輸出コンテナを博多港に輸送すればコンテナの回送を減らせるため、顧客のCO2の削減にも寄与する。

一丸となって安全第一を実現、安心を提供

竣工式で松井社長はプロジェクトにかかわった関係者に謝辞を述べたうえで、「当社は1917年に京浜港で創業し、1940年に現在の九州事業部のもととなる部署を開設し、以来、九州で長きにわたって物流業務を展開してきた。とくに化学品物流に関しては、1980年に大牟田で構内物流を始め、さらには門司における危険物倉庫の運営を開始するなど40年の実績を積んでいる。この『危険物MWS・朝倉サイト』にはそのすべてのノウハウを注ぎ込んでいる」と説明した。

「近年、化学品物流に対する要求はますます高度化しており、コンプライアンスはもちろん、安全かつ高品質で効果的な取り扱いが求められている。この新しいMWSは日々変化する社会からの要請や法令に対応した安全技術を取り入れ、徹底したリスク管理体制を構築している。最新の規格に適合した消火設備や漏洩防止策、警報システムを導入し、非常時に備えているほか、お客様の大切な商品や周辺環境を守るための教育訓練も実施している」と報告し、「一丸となって安全第一の実現に努め、安心をご提供したい」と意欲をみせた。

また、「さらに効率的な物流を実現するための物流システムを開発・整備し、今まで以上に迅速で正確なサービスを提供することが可能となっている。加えて、地域の皆様との共生も重要な課題であると考えており、この施設が地域の発展に少しでもお役に立てるように環境保護や防災対策にしっかり取り組む」と表明。「『危険物MWS・朝倉サイト』はこれからが本番であり、今後、この施設を通じてさらなる成長と発展を目指し、物流インフラとしての信頼を得てお客様、地域社会に貢献することが重要な使命だ」と力強く語った。
(2024年10月3日号)


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