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山九、三重・菰野町に4棟の危険物倉庫を開設

2024.10.08

山九(本社・東京都中央区、中村公大社長)は1日、三重県菰野町に新たな物流拠点「北勢第3物流センター」(写真)を開設した。危険物倉庫4棟で構成され、輸出入貨物に対応する保税蔵置場やコンテナバンニングの機能を有する。同拠点の完成により、山九は危険物倉庫を全国13拠点、総延床面積2万6800㎡へと引き上げた。今後は名古屋や岐阜、静岡といった東海地方などにさらなる施設展開を検討し、注力分野である危険物倉庫事業をさらに拡大していく。

新拠点は、敷地面積約1万879㎡、倉庫面積は1棟1000㎡の計4000㎡となる。四日市コンビナート地区から車で約30分以内の立地にあり、JIT(ジャスト・イン・タイム)配送などにおけるストックポイントとしての利用が可能。東名阪自動車道「四日市東IC」から10㎞、新名神高速道路「菰野IC」から約7㎞に位置し、同ICを活用することで全国に向けた広域配送拠点としても利用できる。また、既存の「北勢第1物流センター」が隣接し、「北勢第2物流センター」も近隣にあることから、3拠点で連携し、保管能力・輸送効率の向上を図る。今回の拠点新設により、北勢エリアにおける山九の危険物倉庫は全12棟となり、保管能力は最大3500t拡大を見込む。なお、設計・施工は三和建設が担当した。

新拠点ではリチウムイオン電池などの製品や医療・半導体などに使用される中間財や原料などの高機能製品をメインに取り扱う。A~D棟の4棟で構成されており、A棟にはコンテナバンニング機能を整備。B棟では18基の固定ラックを実装し、一斗缶や段積みが難しい荷物などの保管に対応するほか、現在許可申請中の毒物劇物の取り扱いにも対応する。倉庫の屋根裏には夏場の温度上昇を抑えるため遮熱シートを設置することで、常に室内温度を40℃以内に抑制。さらに、幅5mの庇を完備して悪天候でも円滑な荷役作業を可能にした。

同拠点では現在、保税蔵置場の許可を申請中であり、今月中に取得する予定で、とくに需要が高まっている潤滑油などの輸出保管需要を積極的に取り込んでいく。また、隣接する「北勢第1物流センター」に配備された小分け室では危険物の小分け作業を行っており、新拠点では小分けが必要な製品の保管も担う。

東海地方での開発強化を検討へ

山九は注力事業分野として、危険物倉庫の新設や拡張を進めており、今回の新拠点開設もその一環となる。運営は四日市支店が担当し、「北勢第3物流センター」は同支店の拠点として10件目となる。新拠点の現在の利用状況については、既存顧客の荷物に加え、新たな顧客からの引き合いもあり、半分程度は契約が完了しているという。目標として、今年中もしくは年度末までにフル稼働を目指していく。

また、新センターが担う配送業務の優位性について、物流事業本部3PL事業部3PL企画営業部3PL企画営業担当部長の瀬良倫氏は「危険物の輸配送が行いにくくなっている中で当社は昨年からオープンプラットフォームを提供するハコベルに出資して、中・小口の危険物をトラック混載で輸送できるサービスを開始することで対応を進めている」と説明。そのうえで「今回新設した拠点は阪神と関東の間にあることから両エリアをつなぐ役割があり、ここから全国へ広く均一にサービスを展開していきたい」と述べた。

さらに、今後の計画については、今回竣工した拠点の付近や四日市コンビナート地区付近の海沿い、名古屋港、岐阜県、静岡県などでも土地の検討を進めている段階にあるとした。
(2024年10月8日号)


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