【物流会社決算】JR貨物/2Q決算 中間期では最高益達成も、通期では増収減益に
JR貨物(本社・東京都渋谷区、田村修二社長)の2018年3月期中間決算は、連結ベースで増収増益となり、連結決算を開始して以降の最高益となった。セグメント別では鉄道ロジスティクス事業の営業利益が約7000万円となり、中間期として初めて黒字化を達成した。
単体ベースでの鉄道事業は4億円の損失を計上。ただ、通期での黒字化を果たした前年度は中間期で12億円の赤字となっており、それとの比較では8億円の改善となった。10月30日に会見した永田浩一・取締役兼執行役員経営統括本部長は「昨年度は中間決算の段階で12億円の赤字だったが、最終的に5億円の黒字となった。収入が計画通り進めば、通期での収支トントンによる黒字化は達成可能だ」との見通しを示した。
連結での鉄ロジ事業、中間期として初の黒字に
同社の中間決算で売上高は前年比2・6%増の935億円となり、各段階の利益も最高値を達成した。
増収を牽引したのは輸送量の増加。上期のコンテナ輸送は自動車部品や積合せ貨物の好調で4・0%となったほか、車扱も石油元売りの再編に伴う増送で1・3%増となった。これを受け、鉄道ロジスティクス事業の売上高は3・1%増の831億円となり、営業利益も6億円の損失だった前年同期から7000万円の黒字に初めて転換した。
一方、単体決算も4年連続の増収となったほか、利益も東日本大震災以降6年連続の増益、中間決算を開始した97年度以降で最高益を記録した。このうち鉄道事業の売上高は3・9%増の676億円となったが、営業利益は4億円の赤字。ただ、12億円の赤字だった前期からは8億円の改善となり、3年連続での損失減少となった。
2年連続での鉄道事業の黒字確保は可能
今期のJR貨物は、修繕費や線路使用料の増加によるコストアップを、輸送量増加による増収でどう吸収するかがテーマ。中間期では17億円の営業費用の増加を収入アップでカバーすることで増収増益となったが、通期では増収減益に転じる見通し。具体的には、売上高は3・4%増の1966億円と増収を維持するものの、営業費用が前期比77億円増となるため、利益が前期を下回ることになりそう。
その中で同社にとっての最大の課題は、単体ベースでの鉄道事業の黒字化を維持すること。永田取締役は、「コストアップにより、年度当初は21億円の紐付けられていないコストがあったが、7月の段階で18億円強まで減り、10月に事業計画を修正した段階では、すべての施策に紐がついた状態になった。そのため、収入計画さえ達成できれば鉄道事業の黒字化維持は十分可能だと思っている」との見通しを語った。
(2017年11月2日号)