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国交/経産/農水、大手荷主3200社が規制対象

2024.08.29

国土交通省、経済産業省、農林水産省は26日、「交通政策審議会交通体系分科会物流部会・産業構造審議会商務流通情報分科会流通小委員会・食料・農業・農村政策審議会食料産業部会物流小委員会合同会議」(3省合同会議、根本敏則座長)の第2回会合を開催し、荷主や大手物流事業者、フランチャイズチェーン本部など、物流改善の規制対象となる企業の指定基準の原案を検討した。参加委員は概ね原案に賛同したことから、規制対象となる企業の規模や指定基準の方向性が定まった。

9月に開催する次回会合で指定基準や具体的な適用ルールなどを見直した原案を提示し、全体の合意を経て秋頃に提言として取りまとめる。関係省庁は提言に基づき冬頃に政省令案を作成し、パブリックコメントを経た上で2025年初に公布、4月に施行する予定。

着荷主も受け取る貨物量で規制対象に

規制的措置の対象として国から指定される特定事業者は荷主、フランチャイズチェーン本部、倉庫事業者、トラック運送事業者に大きく分けられ、それぞれ指定基準を設ける。指定基準は類似の制度である省エネ法の指定基準を参考にしながら、全体への寄与がより高いと認められる大手の事業者から順に、「日本全体の貨物量の半分程度」となる事業者を指定する基準が示された。

特定荷主と特定連鎖化事業者は、取扱貨物の重量が多い順に、「日本全体のトラック事業者により運送された貨物量の半分程度となる事業者」を指定対象とする。具体的には「取扱貨物重量9万t以上」とし、大手企業3200社程度を指定する。取扱貨物重量を算定指標とする根拠は、取扱貨物重量が多いほど輸送回数が多くなり、荷待ち時間が発生する可能性が増すと想定し、効率的な輸送をした際に大きな改善効果が得られるためとした。

特定荷主の取扱貨物重量の指標は発荷主と着荷主それぞれに設ける。発荷主の場合、貨物自動車運送事業者または貨物利用運送事業者に運送を行わせた貨物の年度の合計の重量とする。着荷主の場合、①自らの事業に関してドライバーから受け取る貨物②自らの事業に関して他の者をしてドライバーから受け取らせる貨物③自らの事業に関してドライバーに引き渡す貨物④自らの事業に関して他の者をしてドライバーに引き渡させる貨物――などの貨物の年度合計の重量を指標とする。

特定連鎖化事業者は、その連鎖化事業者の連鎖対象者がドライバーから受け取る貨物と、連鎖化事業者の連鎖対象者(チェーンストアに加盟する事業者)が他の者をしてドライバーから受け取らせる貨物の年度合計の重量を指標とする。

倉庫70社、トラック790社が規制対象に

倉庫業者については、貨物保管量が多い順に、日本全体の貨物量の半分程度となる事業者を指定の対象とする。具体的には貨物保管量70万t以上となる上位70社程度を指定することになる。指標となる貨物保管量は、倉庫業者が寄託を受けた物品を保管する倉庫において入庫された貨物の年度の合計の重量とする。

トラック運送事業者なども同様に、「日本全体の貨物量全体の半分程度をカバーする事業者」を指定対象とする。具体的には、保有車両台数が多い順に保有車両台数は150台以上の企業790社程度を指定する。

また、軽い重量の貨物を取り扱う発荷主となる業種や、卸、小売などの着荷主となるケースが多い特殊性のある業種にとり、取扱貨物重量を把握することは多大なコストがかかると想定される。そのため、取扱貨物の重量算定方法は手段をひとつに限定せず、複数の選択肢を提示することで、事業者において合理的な算定方法を選択することとした。業界の特性に応じて指定基準を設けることで、できるだけ多数の企業が物流改善に取り組みやすくする。

なお、荷待ち時間と荷役作業時間を2時間以内とするルールについては事務局案とは異なる考えも示された。素案では「1運行あたりの荷待ち・荷役などの時間を計2時間以内とする。原則として目標時間を1時間以内と設定する」としていたが一部の委員からは「荷待ちと荷役の時間は業種・業界や輸送状況により特性が異なる。実態を考慮して分離して考えるべき」とする意見もあった。
その他、日本経済団体連合会(経団連)、日本商工会議所、全農、全日本トラック協会、日本倉庫協会、日本冷蔵倉庫協会が要望や意見を発表した。
(2024年8月29日号)


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