メニュー

物流の自主行動計画、124の団体・事業者が策定

2024.02.13

物流の「2024年問題」への対応を図るため、政府が策定を呼びかけていた物流改善の自主行動計画を策定した荷主・物流事業者が1月24日時点で124団体・企業となった。昨年12月26日時点では103団体・企業だったが、1ヵ月で21団体・企業が新たに加わった。政府は今国会で荷主・物流事業者を対象とした規制法案を成立させ、物流改善の加速を狙うが、規制法成立から施行までに一定期間を要し、「タイムラグが生じる」(政府関係者)。対策を前倒しで促すため、自主行動計画の策定を呼びかけていた。
(1月24日時点の荷主・事業者リストは巻末に掲載)

国のガイドラインに基づく取り組みを基本に

経済産業省、農林水産省、国土交通省の3省は昨年6月、政府が策定した「物流革新に向けた政策パッケージ」と同時に、荷主と物流事業者に向けた物流改善ガイドラインを公表。各業界の自主行動計画は概ね国のガイドラインが示す方策に沿って策定し、昨年12月末には103団体・企業が提出していた。

物流改善ガイドラインは発荷主・着荷主と物流事業者に対し、「必須事項」と「推奨事項」を分けて取り組みを提示した。発荷主・着荷主共通の必須事項は、①荷待ち時間・荷役作業時間の把握②荷待ち・荷役の「2時間以内ルール」③物流管理統括者の選定④物流の改善提案と協力⑤運送契約の書面化――など。推奨事項は、①予約受付システムの導入②パレット等の活用③検品の効率化・検品水準の適正化④物流システムやパレットなどの標準化⑤共同輸配送の推進などによる積載率の向上⑥荷役作業時の安全対策――などを盛り込んだ。

発荷主の必須事項は、①出荷に合わせた生産・荷造など②運送を考慮した出荷予定時刻の設定、推奨事項は、①出荷情報などの事前提供②物流コストの可視化③発送料の適正化――など。一方、着荷主の必須事項は納品リードタイムの確保とし、推奨事項には発注の適正化や巡回集荷(ミルクラン方式)の導入などを掲げた。

多様な連携による共同物流を推進

各業界の自主行動計画には、ガイドラインの準拠事項に加え、独自の取り組みも含まれている。鉄鋼業界(日本鉄鋼連盟)は、着荷主側であるユーザー、発荷主側であるサプライヤー、輸送事業者との連携を強化して課題解決に取り組む。具体的には納入時間の分散化やリードタイムの緩和を図るほか、10t以下の小ロット・複数回輸送を一括輸送に切り替え、積載率の向上を図る。発荷主として製鉄所内での待機場所の設置についてトラック協会と対応を検討する。

石油業界(石油連盟)は、燃料油の納入先であるガソリンスタンドとの間における計画配送等の事前通知を通じ、荷降ろし先での迅速な荷卸しと荷待ち時間短縮に協力する。業界独自の取り組みとして、バーター取引や出荷基地の共同利用など共同輸配送を推進する。
自動車業界(日本自動車工業会)はガイドラインに準拠した取り組みを推進。加えて、生産部品の調達物流では引き取り物流への移行を図り、完成車物流では完成車メーカー間の共同物流を実施する。補給部品物流では共同物流に向けた部品販社との連携を拡大するなど物流特性に合わせた共同物流を推進する。

小売・卸は納品期限の「1/2ルール」を推進

スーパーマーケット業界は物流改善の観点から商慣行の見直しを重視。オール日本スーパーマーケット協会・全国スーパーマーケット協会・日本スーパーマーケット協会の共同策定計画では、賞味期間180日以上の加工食品の小売店舗への納品限度は、原則「1/2ルール(1/2残し)」とする。また、業界の標準EDI「流通BMS」を活用した受発注の効率化を物流への負担軽減につなげるとともに、事前出荷情報(ASN)メッセージを利用した検品レス化により検品時間を削減する。チェーンストア協会は店舗での荷待ち・荷役作業等時間についての業界独自の目標として「1時間以内ルール」を設定。メーカーから在庫型の物流センターへの納品リードタイムは、常温加工食品は納品日前々日の発注締めを目標に定めた。

農業業界(JA全農など)は、荷役時間の削減に向け、青果物・花きなど品目別のガイドラインに基づいて標準仕様(1100×1100㎜)のパレットを活用していく方針。

食品製造・卸をみると、日本ハム・ソーセージ工業協同組合や日本加工食品卸協会(日食協)は納品リードタイムを延長することで効率的な配送を実現する。加工食品の小売店舗への納品期限は「1/2ルール」を原則とした。味の素、カゴメ、キッコーマン食品、キユーピー、日清オイリオグループ、日清製粉ウェルナ、ハウス食品、Mizkanが参加する食品物流未来推進会議(SBM会議)は、他の荷主との車両の相互活用や混載輸配送を推進し積載率向上に取り組む。加食業界も小売と同様、検品作業時間の削減を図り、ASNを活用した検品レスを推進。受発注業務は標準EDIを活用して効率化する。
(2024年2月13日号)


関連記事一覧