成田空港、輸入貨物搬出のバース予約を年内開始
成田国際空港(NAA、本社・千葉県成田市、田村明比古社長)は23日、成田空港貨物地区での輸入貨物の引渡しにおけるトラックの長時間待機解消に向けた「2024年問題対策協議会」の第3回会合を同社貨物管理ビルで開催した。今会合では、バース予約システム「トラックドックマネジメントシステム」の輸入貨物搬出における本格的な導入・運用に向けて議論が行われた。NAAは同システムの年内の運用開始を目指す。
成田空港の貨物地区では、輸入貨物の搬出で、貨物が空港に到着しても上屋に保管されても、着荷主からの搬出許可が出なければトラックでの引き取りができず、納品指示が夕方以降や月曜日に集中していることから、トラック待機場での長時間の荷待ちが常態化している。「2024年問題対策協議会」は長時間待機の解消に向けて関係事業者間で検討を進めるために2月から始動。協議会メンバーはNAAをはじめ、フォワーダー、運送事業者、上屋事業者、通関業者によって構成される。
今回の会合では、すでに北部貨物地区での輸出貨物搬入で導入されているバース予約システム「トラックドックマネジメントシステム」を輸入貨物搬出でも導入・運用することを検討した。
混雑状況の可視化で柔軟なバース予約を可能に
「トラックドックマネジメントシステム」の具体的な運用スキームは、まずフォワーダーや通関業者、運送事業者が引き取り予定の貨物のAWB(航空運送状)などの情報をシステムに入力して搬出を予約。次に、運送事業者やドライバーが貨物を引き取りに来る車両の車番やドライバーの情報(所属会社、名前、携帯電話番号)を登録し、ドライバーが引き取り時間を予約する。到着したトラックの車番を待機場の入口に設置したカメラで自動認証し、上屋が車両の空港到着を確認後、ドライバーの携帯電話に連絡し、割り当てたバースまで車両を呼び出す――という流れとなる。
今回のシステムには、同時間帯に予約が集中するのを避けるため、時間帯ごとに予約枠(スロット)に上限を設ける「スロット制」を導入する。ドライバーはリアルタイムで更新される各時間帯のバースの混雑状況をスマートフォンアプリなどで確認できるため、バースに空きがあり、かつドライバーにとって都合のいい時間帯での引き取りを予約できる。これまでは、複数の上屋から荷物を引き取る際、ある上屋ではすぐに荷受けできても他の上屋では荷待ちをする必要があるなどのケースが発生していた。今回のシステムでは複数の上屋が空いている時間帯を確認でき、まとめて予約を入れられるようになるなど、ドライバーにとって柔軟な引き取りを可能にする。予約できる時間帯の枠は1時間ごとの設定となる予定。
システムはWebベースとスマートフォンアプリでの提供を予定し、NAAが主体となって開発する。ベンダーとは現在、契約手続きの最中にあり、NAAは年内の運用開始をメドとしながらも、できるだけ早い時期での導入を目指す。
協議会の会長を務めるNAA営業部門の宇野茂執行役員貨物営業部長は「しっかりと使えるシステムを開発するには、スピードはもとより実際に利用する事業者の方々と丁寧なコミュニケーションを取る必要がある」と強調。そのうえで、協議会としての会合は今回で一区切りとなるものの、今後はシステム開発にあたって関係事業者と個別の話し合いを進めていく方針を示した。
(2024年5月28日号)