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成田空港で「24年問題対策協議会」発足

2024.03.05

「2024年問題」が間近に迫る中、成田国際空港会社(NAA、本社・千葉県成田市、田村明比古社長)は、トラックドライバーの労働時間短縮に向けた取り組みを加速させる。重量ベースで日本の航空貨物の5割超を取り扱う成田空港では、貨物地区内において輸入貨物を引き取りにきたトラックの長時間待機が常態化。この課題の解決に向けて、NAAでは「2024年問題対策協議会」を発足し、2月27日に成田空港の貨物管理ビルで初会合を開いた。会合には運送事業者、フォワーダー、通関業者、上屋事業者の企業・団体などが委員として参加し、それぞれの立場から現状と課題の〝見える化〟に向けて議論した。今月に予定する第2回会合で具体的な解決策などを話し合い、今春をメドに改善案を取りまとめる。

運送事業者、フォワーダーなどが課題を共有

今回の協議会は、1月にNAAが千葉県トラック協会(千ト協)から、貨物地区内における荷待ちの長時間待機解消についての要望を受けて発足したもの。初会合には、協議会の会長を務めるNAA営業部門貨物営業部の宇野茂部長のほか、運送事業者、フォワーダー、通関業者、上屋事業者から代表者が委員として参加した。

会合の冒頭、宇野氏が「千ト協からトラック運送事業者の実情に関して相談を受け、話し合いをさせてもらった。簡単な問題ではないが、解決に向けて、関係者の皆様に知恵を出しあっていくことで、1歩でも2歩でも解決につなげていきたい」と挨拶。また、委員である千ト協の池田和彦会長は「4月まであまり時間は残されておらず、問題はすぐに改善できるものではないが、少しずつでも業界が良くなっていくように協議を進めていきたい」と語った。

会合では、千ト協が会員事業者を対象に行ったドライバーの労働時間に関する実態調査の結果報告を資料として利用するとともに、輸入航空貨物の流れに関する説明や課題点の整理・共有、今後の進め方について議論が行われた。初会合を終えた宇野氏は「各事業者の立場からそれぞれの事情や問題点を忌憚なく発言していただいた。お互いに理解できていなかったことに気付くことができ、話し合いの場を設けた意味があった」と振り返った。そのうえで、「短期的な課題は空港内で解決し、長期的な課題に対しては荷主の理解を得ながら全員で考えていく必要がある」と述べた。

次回会合で改善策を議論、今春に取りまとめを予定

NAAではかねてより貨物地区内におけるトラックの荷待ち時間の短縮に向けて取り組みを進めてきた。輸出貨物については23年4月に、事前予約によってトラックの貨物地区への入構を効率化する「トラックドックマネジメントシステム」を導入。上屋の混雑具合や荷待ちの順番の把握が容易となり、トラックを効率的に稼働させられるようになったことから、荷待ち時間の削減や車両の滞留緩和など一定の効果が得られたという。

一方で、輸入貨物については、貨物が空港に到着して上屋に保管されても、着荷主からの納品指示がなければ搬出や引き取りができず、納品指示が夕方以降や荷主の休日明けの月曜日に集中していることから、トラックの長時間待機が発生。荷物を引き取りにきたトラックは貨物地区内にある待機場で荷待ちしているが、待機時間は平均2時間から4時間、長いときには5時間にも及ぶという。荷主のスケジュールに左右される部分が多いため、輸出貨物よりも対策が難しい状況にある。

NAAではこうした状況を「各事業者の個々の責任ではなく、業界の構造的な問題」としたうえで、今後は「2024年問題」の影響によりさらに厳しい対応を迫られることから、関係事業者による議論の場を設けることで対策の強化につなげていく。

今後は今月中に第2回会合の実施を予定しており、初会合で洗い出した課題点に対する具体的な解決策などを議論する。さらに話し合いを進める必要がある場合には3回目の実施も検討しており、今春(4~5月頃)をメドに改善案を取りまとめる予定だ。
(2024年3月5日号)


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