全国で「Gメン調査員」が始動=国交省/トラック協会
国土交通省が荷主対策を強化するために創設した「適正化事業調査員」(略称=Gメン調査員)が始動した。47都道府県トラック協会の適正化事業実施機関から選任された「Gメン調査員」は、国交省の荷主対策担当官「トラックGメン」と連携して、トラック事業者の健全な事業運営を妨げる違反原因行為を行う悪質な荷主・元請についての情報を収集。得られた情報に基づき、全国の運輸局が悪質な荷主や元請に対して「働きかけ」や「要請」を行い、物流改善を加速させる。
全ト協が「Gメン調査員」研修を実施
国交省は11~12月に荷主対策の「集中監視月間」を実施する。荷主・元請への監視を一層強めていくが、全国162人の「トラックGメン」だけでは活動に限界もある。加えて、4月に成立した改正物流法には衆参両院の国土交通員会による附帯決議があり、「トラックGメンの機能強化に向け、全国と地方の貨物自動車運送適正化事業実施機関を活用した事業者からの情報収集や、荷主・元請事業者の違反原因行為に係る調査などを補完する体制の強化・明確化を図ること」と定めた。
国交省は附帯決議に基づき各都道府県トラック協会の適正化指導員の中から「Gメン調査員」を基本は2人以上選任し、「トラックGメン」と「Gメン調査員」を合わせると256人以上となる体制に増強。普段から適正化指導員としてトラック事業者を巡回し、地域事情に詳しい各地の「Gメン調査員」と協力しながら「トラックGメン」がより〝網の目〟の細かな荷主対策を推進していく。
これを受け、全日本トラック協会(全ト協、坂本克己会長)は9月25日、全国のGメン調査員を対象にWeb方式と対面方式を併用して「適正化事業調査員(Gメン調査員)研修」を全日本トラック総合会館(東京都新宿区)で開催。国交省物流・自動車局貨物流通事業課トラック事業適正化対策室の佐藤和義室長が挨拶に立ち「『Gメン調査員』と運輸支局の『トラックGメン』が緊密に連携し、情報共有を図ることで、実効性のある荷主対策を行っていただきたい」と激励した。
支局の「トラックGメン」と連携
研修では悪質な荷主・元請の情報収集や調査の際の留意点をはじめ、荷主・元請の社名や違反原因行為の種類、発生した日時・場所など情報共有の方法・情報管理の心構えなどを学んだ。活動開始後は、研修内容に沿った形で、全国の「Gメン調査員」は各運輸支局の「トラックGメン」との役割分担や調査活動の日程など各種の調整を実施。情報収集と荷主・元請への「働きかけ」などの成果を踏まえながら、両者が同行して荷主・元請を訪問するケースもありそうだ。
なお、荷主対策については、6月に制度の一部が改正され、違反原因行為の有無などの自主点検を求める働きかけや、違反原因行為の解消に向けた要請は、運輸局だけの判断で行えるようになった。これは従来よりも迅速・積極的に荷主対策を行う狙いがある。併せて6月からは「働きかけ・要請」は荷主・元請の本社ではなく営業所に対して行えるようにした。複数の営業所にまたがる違反行為に基づく「要請」は本社に対し、また、最も重い措置である「勧告・公表」は、これまで通り国交省本省が荷主・元請の本社に対して行う。
(2024年10月3日号)