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改正物効法対応へ「CLO」関連ビジネスが勃興

2024.10.29

5月に公布された改正物流効率化法で、一定規模以上の「特定事業者」となる荷主企業に「物流統括管理者(CLO)」の選任と、物流効率化に向けた中長期計画作成が義務付けられたことを受け、「CLO」ビジネスが続々と登場している。戦略策定のコンサルティングから、DXを絡めたサプライチェーンの最適化支援、広い視座でサプライチェーンを俯瞰するCLO人材の発掘・育成など関連業界に商機が生まれている。

戦略立案から実行計画の策定までを支援

フィジカルインターネットセンターのCLO職能検討会が7月にまとめたCLOの要件によると、CLOは「役員クラスのサプライチェーン責任者」であり、「社会課題解決と地域社会の持続可能性促進」、「サプライチェーン全体最適実現のための中長期計画の立案と実行」、「物流オペレーションの効率化とリスク管理」の3つの役割を担う。

職能としては「経営者としての視点と能力」、「戦略的思考と決断力」、「社内外の外交力、調整力」、「広い視野の関心、知見」が求められ、単なる「物流担当部長」ではなく、サプライチェーン全体の責任と権限、リーダーシップを有するCLOの確立は大手荷主企業にとって新たな経営課題として浮上している。

KPMGコンサルティングは、CLOがボトムラインへの貢献にとどまらず、SCMの在り方をプロアクティブに提案し、トップラインの拡大へ一層貢献することが求められるとして、「物流構想策定支援サービス」の提供を開始。独自のサプライチェーンデザインツールを活用し、物流戦略の仮説立案から実行計画の策定までワンストップで支援する。

具体的には、「可視化・分析」機能と「シミュレーション」機能を特徴とするサプライチェーンデザインツールを活用することで、事業計画・外部環境変化に基づく物流戦略の仮説立案から実行計画の策定までのプロセスを一貫して支援。物流ネットワークの設計において、施策立案から効果検証までのサイクルを高頻度で回し、複数のシナリオ分析を行う。

フューチャーアーキテクトは、CLOの戦略策定から推進・実行までを支援するコンサルティングサービスを7月から本格展開。テクノロジーと物流のノウハウを有する同社の物流サービス事業部のプロフェッショナルが一体となって伴走し、社会課題の解決と経済価値創出を両立する「共有価値創造戦略」の立案をサポートする。

戦略立案だけでなく、構想の具現化・実装までを一気通貫で支援。「物流DXコンサルティングサービス」の知見を活用し、システム実装やAI活用などの「デジタル領域」に加え、拠点の統廃合や倉庫設備の設計、サプライチェーンネットワークの再編といった「フィジカル領域」までを包括的に支援する。

システム構築、CLO候補者の人材紹介も

物流エンジニアリングのAPTは、物流・製造業界における業務プロセス改革を手掛けるストラソルアーキテクト(SSA)とともに、CLO支援の新サービス「Logiドック」を開始。多くの現場で効率的な物流システムを構築してきたAPTと、構想策定に強いSSAが連携し、中長期計画の作成とそれに基づく取り組みをサポートする。

具体的には、CLO視点での顧客企業オリジナルの診断メニューを作成。「SCM戦略」「運用」「システム」の3つの評価軸に基づき、企業の現状を客観的に評価し、問題点を可視化。あるべき姿と解決の方向性を定め、新運用フローの策定、投資対効果の試算を行い、実行支援としてマテハン、システムを選定する。

人材面からサポートするのが、KI Strategyだ。CLOにフォーカスした人材総合サービスプラットフォームとして「CLO Career」をリリース。個人向けにCLOや関連職種への「転職」を希望する人に求人紹介を行うとともに、企業向けにはCLO候補者の正社員および中途採用を支援する。

同社ではCLOが今後担っていくことが予想される業務領域について企業への支援実績を積み上げており、CLOの育成カリキュラムやキャリアパス、職務規定・評価制度などの策定のほか、DXやサステナビリティ、物流戦略、中長期計画、物流効率化KPI設定の業務支援にも対応する。
(2024年10月29日号)


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