問題は「2024年」で終わらない=国交省・和田事務次官
7月4日付で国土交通事務次官に就任した和田信貴氏(写真)は11日に専門紙記者会見を開いた。物流の停滞が懸念される「2024年問題」について言及し、「24年3月末に節目を迎えるが、年度末を過ぎ、24年の1年間を乗り越えれば、それで終わりになる話ではない。それ以降も継続的に物流革新に取り組んでいく必要がある」と強調した。「6月に政府が取りまとめた『物流革新に向けた政策パッケージ』に示された枠組みと指針に基づき「現在の物流のあり方を見直し、直すべきところは直す。物流課題に対しては、法制化も含めて施策に取り組んでいく」と表明。「現在の物流をさらに良いものにするための取り組みを、しっかりと続けていくこと」が国交省の物流行政の使命だとした。
「政策パッケージ」は具体的な施策の方針として「商慣行の見直し」「物流の効率化」「荷主・消費者の行動変容」の3つを掲げている。これについて和田氏は「商慣行というものは、長く慣習的に行われていることであっても、それが非効率なものであるならば見直しを行う必要がある」とし、荷主などに対する規制的措置を、法制化も含めて導入することで、商慣行の是正につなげていく考えを示した。物流の効率化については「物流の停滞を回避するにはDX(デジタルトランスフォーメーション)の促進とともに、モーダルシフトを含む脱炭素化の取り組みであるGX(グリーントランスフォーメーション)中心としていく」との考えを示した。
和田氏は「物流業も建設業も人手不足の状況に共通点があり、業界構造も似ている」と述べ、物流業と建設業の課題解決に取り組むため「国交省の物流と建設の担当部署がお互いの施策を勉強し合えば実効性の高い施策立案と実施ができると考えている。今後も相互の勉強会を盛んにやるべき」と述べた。
国交省は10月1日付の組織改正で「物流・自動車局」をスタートさせる。これについて和田氏は「物流行政と自動車行政を、より立体的・効果的に進めていくために組織改正するものだが、実質的には7月以降、新たな体制で仕事を行っている」と述べ、「荷主に対して物流改善に向けた働きかけを行う『トラックGメン』制度の創設など、物流・自動車双方にまたがる施策を先駆けて実施している」と説明した。
和田信貴(わだ・のぶたか)1987年東大法卒。同年建設省(現・国土交通省)入省。旧建設省系の各部門で職歴を重ねる。茨城県庁への出向時には交通政策や産業政策に関わる。道路局次長、住宅局長、総合政策局長、国土交通審議官などを歴任。長野県生まれだが小学生からは埼玉県で育つ。仕事の際は固定的な考えにとらわれず、幅広い観点から考えて行うことを重視している。1964年生まれ、59歳。
(2023年9月26日号)