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ヤマト運輸、2tEV車900台を全国に導入

2023.09.19

ヤマト運輸(本社・東京都中央区、長尾裕社長)は12日、三菱ふそうトラック・バス(本社・川崎市中原区、カール・デッペン社長CEO)が開発した小型EVトラック「eCanter」の新型モデルを全国の拠点に900台導入すると発表した。導入車両は2tクラスで、同クラスのEV車両の導入はヤマト運輸で初となる。同社として過去最大規模の一括導入となり、今月から順次導入を進め、2024年3月に完了する予定。

今回導入したEV車両は、「eCanter」の第三世代モデルとなり、ヤマト運輸でもっとも利用頻度の高い2tクラスとなる。荷室は常温・冷蔵・冷凍の3温度帯に対応。車幅をコンパクトにしたことで小回りが利くため、街中での配送に適している。航続距離は1回の充電につき116㎞。充電口を車両後方に備えることで、充電や荷室からの荷物の出し入れがしやすい仕様とした。普通充電の場合、バッテリー切れの状態から約8時間でフル充電となる。

ヤマト運輸ではかねてより、住宅地での集配向けに、日野自動車製の1tクラスEVトラックの採用を進めている。今回導入する車両は、商業地域などでの集荷やラストワンマイル配送で運用する。今月から24年3月にかけて全国に900台を導入。これはヤマト運輸が保有する小型トラックの約2%にあたり、今年度中に導入予定のEV車両台数(1200台)の約75%、今年度末時点で予定するEV導入台数(2200台)の約40%に相当する。

ラストマイル拠点で再エネ調達、EVへの使用も想定

同日、群馬県高崎市の高崎正観寺営業所で導入車両をメディアに公開した。長尾社長は「充電設備などの条件が整った拠点から積極的にEV車両を導入していく。3年後には宅急便事業の開始から約50年の節目を迎える。物流事業は温室効果ガスの排出量がとても大きい。環境に対する取り組みを進めて、持続可能なビジネスの実現を目指す」と述べた。今後の展開については「ラストマイルの配送拠点の集約・大型化を進めており、集約拠点では地域の特性に応じて再生可能エネルギーの調達も進めていく」としたうえで、再生可能エネルギー由来の電力をEV車両で使用する構想を明かした。また、充電設備に関しては規格統一を図ることで、コスト低減を進めていく。

三菱ふそうトラック・バスのデッペン社長は「ヤマト運輸は今回の導入にあたり、当社のeモビリティリースプログラム『FUSOグリーンリース』を採用している。新モデルは8t以上の車両の開発にも対応しており、幅広い可能性を持っている」と自信を覗かせた。

ヤマトグループでは、「2050年温室効果ガス(GHG)自社排出量実質ゼロ」と「2030年GHG自社排出量48%削減(2020年度比)」の実現に向けた主要施策のひとつとしてEV車両の導入を推進。30年までに2万台のEV車両を導入する計画にある。
(2023年9月19日号)


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