…亀田製菓/ブルボンなど、新潟菓子メーカー6社が生産地共配
新潟県に本社を置く菓子メーカー6社が製品の生産地共配に向けた実証実験を行った。参加したのは亀田製菓、ブルボン、岩塚製菓、三幸製菓、栗山米菓、越後製菓。7月から8月にかけて新潟県内の工場から関東の食品卸物流拠点に納品する常温および定温管理商品のパレット共同配送をトライアルし、課題を洗い出した上で解決に向けた検討を進め、23年度中の実運用を目指す考えにある。
実証実験では7月に、10tトラック2台を仕立てて常温品を輸送。1台目は栗山米菓と三幸製菓の商品を混載して、コンフェックスの厚木センター(神奈川県厚木市)へ納品し、2台目は亀田製菓と越後製菓から、山星屋の岩槻物流センター(さいたま市見沼区)へ配送した。昨年1月に実施した実証輸送の2回目となった。さらに、8月には定温品の共同配送として亀田製菓とブルボンから集荷した商品を山星屋の柏物流センター(千葉県柏市)に届けた。
容積勝ちする菓子物流は従来、バラ積みが主流だったが、トラック積み降ろし時間の短縮に向けて、実験では全商品をパレット積みとした。パレット単位で発注できる商品を対象とし、10t車にT11パレット2段積みする計32枚積みで行った。
取り組みの結果、バラ積み時にはトラック1台あたり90分~3時間ほどかかっていた積み降ろし時間が、30分弱まで大幅に短縮。また、各メーカーが構える関東側の配送センターを経由せず、卸の物流センターへ直接納品することで輸送時間の短縮や荷役作業の負荷軽減、さらにはメーカーごとに仕立てていたトラックの削減も見込まれるなど、2024年問題対策としての効果も期待できる。
一方で、課題は料金面で、実証実験ではパレット1枚当たりの運賃としたため、菓子メーカー側の出荷量によっては運送会社側のトラック1台あたり収益を圧迫。実験では出荷量の少ないメーカーの分をもう一方のメーカーが補うなどしてカバーしたが、結果として補った側のメーカー在庫が増えるなどの負担も増した。アイテム数を増やすなどの対策も考えられる一方、小ロット商品をパレット積みできるか課題も残る。また、各社ではパレットへの積み付けの高さを1m10㎝以内に揃える必要もある。
併せて重要となるのが、コスト削減分の利益をいかにシェアするかという現実問題だ。配送センターをスキップすることで輸送コストそのものは削減できるものの、既存物流システムの中で配送センターを運営してきた企業の収益は圧迫され、さらには、無在庫化することでBCP対策も求められる。現場業務ではメーカーごとに商品パッケージの仕様やパレット積みの方法も異なるため、共配向けにパレット積みを揃える作業負荷も生じた。パレット回収のスキーム構築も欠かせない。
今回の共同配送事業に着手したのは、6社が参画する「新潟菓子メーカーパレット物流研究会」(堀田弘幸代表幹事・亀田製菓執行役員SCM部長)。菓子6社と、シジシージャパンおよび同社の帳合先である食品卸の三菱食品、コンフェックス、山星屋、亀田製菓物流子会社の新潟輸送、栗山米菓の物流などを担当する丸紅ロジスティクスがメンバーとなっている。
(2023年9月5日号)