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「24年問題」対策に183億円超を要求=国交省24年度予算概算要求

2023.08.29

国土交通省は24日、2024年度予算概算要求を公表した。一般会計は7兆389億円(23年度比の1・19倍)、東日本大震災復興特別会計は465億円(1・15倍)となった。一方、財政投融資は2兆4156億円(1・04倍)となった。陸海空の輸送や倉庫、港湾にまたがる物流関連の予算は総額で5400億円超となる。このほかモーダルシフトの促進や宅配便の再配達削減について事項要求を行う。物流関連の最終的な予算総額は未定だが、23年度と比べ2割以上増加すると見込まれ、国交省の〝物流革新〟への意気込みがうかがえる予算要求となった。

「政策パッケージ」の具体化へGX・DX推進

国交省全体の物流関連予算を大枠でみると、効率的な物流ネットワーク整備に4471億円(1・20倍)、国際コンテナ戦略港湾の強化に794億円(1・27倍)、物流現場の機械化・デジタル化や港湾物流情報の電子化・データ連携などを含むDXや働き方改革の推進に11億円(2・48倍)を計上。

物流の「2024年問題」対策として実施する担い手の確保・育成や効率化による物流の革新に183億円(1・71倍)を要求した。6月に政府が公表した「物流革新に向けた政策パッケージ」に基づき、物流GX(グリーントランスフォーメーション=脱炭素化)・DX(デジタルトランスフォーメーション)、標準化、トラック運送業の労働生産性の向上や取引環境の適正化などの物流改善に取り組む。

内航フェリー・RORO船ターミナルの強化、貨物駅や鉄道貨物ネットワークの機能強化やモーダルシフトの促進、中継輸送の普及促進や自動運転の実証、災害時の支援物資物流の強化なども主要施策とする。

これらの施策を実施する183億円の予算のほかに、モーダルシフトを強力に促進するための環境整備や、宅配便の再配達削減について、現時点では施策の詳細が決まっていないことから事項要求とした。

税制改正では、物流総合効率化法による認定計画に基づき取得した倉庫用建物の減税措置の延長をはじめ、軽油引取税の課税免除の特例措置やJR貨物が取得した新規製造車両の減税措置などの延長を要望した。

荷主・消費者の行動変容を促していく

物流・自動車部門の主要施策は、①「物流の2024年問題」対策②自動車分野の脱炭素化(GX)③自動車分野のDX・技術開発や人材確保による事業基盤の強化④自動車事故被害者の救済や事故防止・安全対策の推進――の4つを柱とした。

「2024年問題」対策では、先月21日に創設した「トラック荷主特別対策室(トラックGメン)」制度を活用し、荷主の指示による長時間待機や契約にない荷役作業など不合理な商慣行の是正に取り組んでいる。24年度予算では「トラックGメン」の活動費として1億7000万円を要求。また、再生可能エネルギーの利用に必要な設備や、再エネ電気を利用する車両を導入して脱炭素化を図ることで物流GXや荷主・消費者の行動変容を促す施策の予算として12億7500万円と事項要求とした。物流現場での自動化・機械化などDXの推進では6億2000万円を新たに要求。これらの施策の実施をドライバーの労働環境改善につなげる。

倉庫や物流不動産などの施設でDX・GXに資する車両や設備を整備する事業には、財政投融資から145億円を要求。昨年度の20億円より大幅に拡充した。

エネ庁と連携した取り組みでは、EVトラックの充電インフラ使用枠の割り当て最適化の実証などを行う。環境省との取り組みでは自立型ゼロエネルギー倉庫モデル促進事業や冷蔵倉庫の脱フロン化・脱炭素化事業など前年度からの継続事業のほか、離島や山間地でのドローン物流と協働輸配送を組み合わせた物流ビジネスのモデル構築に要する費用補助などを行う。

国交省鉄道局が実施する鉄道へのモーダルシフトの促進と貨物鉄道輸送の効率化事業では、事業費26億8600万円の内数、国費8億5500万円の内数(幹線鉄道等活性化事業費補助)と国費5億200万円(鉄道整備等基礎調査委託費等)を要求。需要が見込まれる貨物駅において31ftコンテナのコンテナホームの拡幅など整備を行う。また、国際海上コンテナ(40ft)の鉄道輸送拡大に向け、輸送ニーズや背高の40ftコンテナ(ハイキューブ)がトンネルなどを通行するための方策などを調査する。そのほか、一部で実施されている新幹線による貨物輸送について、拡大可能性を検証する。
(2023年8月29日号)


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