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1割強の郵便局で「協議なく運賃据え置き」=日本郵便

2023.04.20

日本郵便(本社・東京都千代田区、衣川和秀社長)は14日、中小企業庁による調査で協力会社からの価格転嫁要請に対して不適切な対応をとっていたことが明らかになった問題について、郵便物や荷物の配達・集荷業務などの委託契約に関する協力会社とのパートナーシップ構築に向けた取り組みの進捗状況を公表した。それによると、自主点検の結果、全国の集配郵便局の1割強で「取引先と協議することなく委託料を据え置く」などの不適切な対応があったことが分かった。

同社は、中小企業庁が2月に公表した「価格交渉促進月間」のフォローアップ調査において、協力会社から価格転嫁で最低評価、価格交渉についても下から2番目に低い評価を受けたことから、自主点検の実施や協力会社との相談窓口を設置するなどの対応策を実施することを表明し、今回、その実施状況について経過報告したもの。

まず、自主点検では、全国の集配郵便局1001局と全国13支社に対し、2021年6月~22年5月までの1年間に行った集配関係委託契約に関する下請取引を対象として、下請法に基づき親事業者が実施すべき事項についての実施状況をアンケート調査。その結果、下請法に基づく運用基準(22年1月改正)と下請中小企業振興法の振興基準(同年7月改正)で、親事業者に求められる対応について、改正後の運用基準などを踏まえた取り扱いが行われていない実態が認められたほか、下請取引に関する正しい理解が不足している事例が散見された。

主な事例としては、全体の13・9%にあたる139局・2支社で、取引先からのコスト上昇を理由とした委託料の引上げ要請に対し、「取引先と協議することなく委託料を据え置く」または「委託料を据え置いた際、その理由を文書やメールで回答していない」事例があった。また、6・6%にあたる67局で下請代金の支払基準(役務提供日から起算して60日以内)について、「請求書提出日を基準に支払う」との誤認識が見られる事例が確認された。さらに1局では、協力会社に対し日本郵便の営業用物品を無償で配達させた事例もあった。

こうした事例が発生した原因について、日本郵便では「下請法に基づく運用基準および下請中小企業振興法の振興基準の改正内容などについての日本郵便本社の把握が遅れ、郵便局や支社への指示や理解浸透が徹底されなかった」とした。また、「協力会社からの依頼が口頭による要請だったため、正式な依頼だとは思わなかった」という理由も挙げた。

相談窓口の設置については、2月17日までに全国13支社に協力会社との相談窓口を設置し、4月5日までに合計133件の相談があったことを報告。相談内容の大半は委託料の見直しに関するものだったという。

さらに協力会社とのコミュニケーション促進月間の実施状況については、2月20日~3月31日までを期間として、現在締結しているすべての集配関係委託契約(5500件)について、委託料などの契約見直しの協議を推進。今月10日時点で、全体の2割弱について、委託料などの見直しについて合意しており、残り8割強についても期間を延長して協議中。日本郵便によると「基本的にすべてのケースで値上げに対応している」としている。なお、今後は毎年、コミュニケーション促進月間を設定し、協力会社との間で適切な契約内容に関する協議を行っていくことを決めた。

同社では、今後の対応として「協力会社との取引に関する郵便局・支社・本社の役割の明確化」「協力会社との契約内容、協議などの手続の整備(データ管理)、契約手続の電子化試行」「郵便局、支社、本社担当者への定期的な研修」――を挙げ、協力会社との適正なパートナーシップ構築に注力していくとした。
(2023年4月20日号)


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