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東洋メビウス、「熊谷物流センター」の内覧会開催

2023.03.30

東洋メビウス(本社・東京都品川区、篠山健司社長)は22日、「熊谷物流センター」(埼玉県熊谷市、写真)の内覧会を開催した。同センターは、高密度保管設計で広大な保管スペースを確保したほか、荷積荷卸し時間の短縮で作業の効率化を図るなど「トラックを待たせない」機能を充実させている。稼働開始日は4月1日を予定している。

「門前倉庫」型物流拠点

「熊谷物流センター」は、東洋製罐グループホールディングスが取得した妻沼西工業団地内に建設され、2階層の高密度倉庫棟と3階層の平置き倉庫棟で構成されている。延床面積は約2万2000㎡で、貨物用エレベータ1基と垂直搬送機2基を設置した。深谷バイパス・上武ICに近く、埼玉県内や飲料品メーカーが多い群馬県への交通の便に優れた立地だ。

篠山社長は「飲料品メーカーは容器を保管するスペースを持たないためJIT配送を行っているが、働き方改革や『2024年問題』などを機にトラック輸送の平準化し、到着時間にとらわれない仕組みが求められている。同センターは、関東各地や関西から運ばれてくる容器類を一時的に保管する『門前倉庫』としての機能を持たせている。とくに前橋物流センターより南に位置する、館林・伊勢崎方面への配送には最適な立地だ」と開設の意義を説明する。

高密度保管システムで保管スペースを確保

高密度倉庫棟は、主に東洋製罐製の酒類・清涼飲料水用容器の保管と入出荷を行う。住友重機械搬送システムの高密度保管システム「マジックラック」を導入し、東洋製罐で使用している1440㎜×1130㎜サイズのパレットを約8000枚保管することができる。発送データに基づき自動で荷揃えを行い、フォークリフトを介さずトラックローダーを通じてスムーズに出荷することができる。大型車1台分の出荷作業は20分以内に完了できるなど、1時間で最大15台分の入出荷が可能だ。

「『マジックラック』は、搬送レーンが通常の倉庫より少なく設計されており保管スペースを多く確保できる。加えて、飲料メーカーでの導入実績が多数あり、信頼性が高いと判断した」(篠山社長)という。

過去の出荷実績データに基づきバースを6ヵ所設けたことで、急な到着時間の変更があった場合でもトラックが滞留しないよう仕組みを整えた。今後1年以内をメドにトラック予約受付システムを導入し、トラックの荷待ちを発生させない入出荷体制を構築するほか、将来的には伝票などをペーパーレス化し、ドライバーが事務所に寄らずにバースに接車できるよう、生産性の高いセンター運営を目指していく。

平置き倉庫棟は、梁下有効高が7・5mで約7000枚のパレットが保管でき、出荷バースは4ヵ所設けた。

環境性能にも注力

東洋製罐グループの環境方針は、2030年までにサプライチェーンにおけるCO2排出量を19年比で30%削減する目標を掲げており、「熊谷物流センター」は環境への取り組みにも力を入れている。CASBEE建築評価Aランクを取得したほか、平置き棟の屋上には688枚の太陽光パネルを設置した。最大160kwhの発電が可能で、施設の使用電気量の40%を賄う見込みだ。太陽光変電室は停電時の自立運転機能の一部を備えており、災害時の非常用電源として活用することができる。また、伊藤園の「茶殻リサイクルシスステム」により開発された「茶殻配合防音パネル」を国内で初めて採用したほか、事務所壁面には茶殻入りデザインウォール「エコアートプラス」を取り入れた。

同社の梶山芳樹専務は、今後の環境への取り組みに関し「23年度は、フェリーによるモーダルシフトを推進したい。関東~関西間のフェリー輸送の定期便化を目指すほか、関東~北海道間に続き、関東~九州間の輸送も100%フェリーに切り替えたい」と語った。

内覧会では、熊谷市の観光名所をデザインしたラッピングトレーラが公開された。東洋製罐の久喜工場(埼玉県久喜市)や埼玉工場(同吉見町)との間を走行予定で、同社では初めて、包装容器輸送事業でトレーラを導入する。トレーラにはパレットを18枚積むことができ、大量輸送を実現する。また、日本トレクス製のトレーラブレーキ温度監視システムを導入し、ブレーキの温度上昇に伴う不具合の抑制や火災事故防止に配慮している。来賓として招かれた熊谷市の小林哲也市長は「熊谷市を物流拠点に選んでいただき大変喜ばしい。また熊谷市をPRするラッピングトレーラも製作していただき、重ねて感謝申し上げたい」と挨拶した。
(2023年3月30日号)


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