国交省、倉庫業に荷待ち解消を「要請」
国土交通省は先月、倉庫業者に対し、改正貨物自動車運送事業法に基づく「要請」を行った。改正事業法の荷主対策条項が施行されてから3件目の「要請」となる。当該企業は関東運輸局管内で倉庫を運営する企業で、トラック運送会社に対して長時間の荷待ちをさせるなど違反原因行為を行っていた。国交省はトラック事業者から情報提供を受け、荷待ちの実態を調査し、長時間の荷待ちをさせていることを確認。国交省本省が昨年7月に改正事業法に基づき、改善すべき点を指摘するなど働きかけを実施した。その後もトラック事業者からは「受付をした後、2時間半以上の荷待ちがあり、現在も改善されていない」「朝8時過ぎに受付したのに12時になっても呼ばれない」などの相談が国交省に持ち込まれるなど、実際には長時間の荷待ちを解消する取り組みが進んでいなかった。そこで先月、国交省は働きかけよりも一段階強い措置である「要請」を行い、違反原因行為の解消を求めた。
当該企業は朝から14時までをトラックからの「積み降ろし時間」、14時以降をトラックへの「積み込み時間」と時間帯を2分割する業務体制としており、積み降ろし時間帯には車両の積み込みが行えない状況だった。当該企業は要請を受けたことで業務体制の変更を含め、改めて改善計画の策定に着手した。
なお、改正事業法に基づく改善要請の1件目は、昨年8月に中部運輸局管内のメーカーに対して発出された。違反原因行為は長時間の荷待ちだった。2件目は元請運送業者に対するもので、昨年10月に関東運輸局管内で過積載が指摘され、改善の働きかけを受けたが、翌月には近畿運輸局でも過積載を行うなど改善がみられなかったことから要請を受けた。1件目は真荷主、2件目は元請事業者が要請を受け、3例目の今回は倉庫業が対象となった。
改正事業法の荷主対策では、第一段階で改善点をしてきするなど「働きかけ」を行い、それでも改善が見られない場合や、荷主の違反原因行為が判明した場合は「要請」を行う。要請を行う際には、当該企業の所管省庁や公正取引委員会とも情報共有し、なお改善されない場合は勧告を行い、企業名を公表することとしている。
(2023年3月16日号)