JR貨物、5月のコンテナ輸送量は5.5%減
JR貨物(本社・東京都渋谷区、真貝康一社長)の5月の輸送実績は、コンテナが前年同月比5・5%減の133万6000t、車扱が1・7%増の47万8000tとなり、合計で3・7%減の181万4000tとなった。17日に行われた会見で真貝社長は「災害・曜日配列を補正した数値ではほぼ前年並みとなり、コロナ前の2019年5月との比較では約12%減となっている。6月に入ってからも同様の傾向が続いている」と述べ、引き続きコロナ影響に加えて、半導体不足や海外からの部品調達難が減送要因になっていると説明した。
コンテナ品目別では、積合せ貨物と家電・情報機器を除く全品目が前年を下回った。食料工業品はビール類の輸送が堅調だったものの、清涼飲料水は地産地消の傾向が進み減送となった。自動車部品は半導体不足と海外からの部品調達難が影響して引き続き前年を大きく下回ったほか、自動車部品の素材原料となる化学工業品、化学薬品も低調だった。
一方、積合せ貨物はブロックトレインの運転開始などにより増送が続いているほか、家電・情報機器はエアコン類の出荷が堅調だった。
車扱は、ゴールデンウィーク期のガソリン需要の増加で石油が増送となり、全体でもプラスとなった。
真貝社長は今後の需要見通しについて「足元の状況は厳しいものの、新しいお客様が増えるなど明るい兆しもある。『2024年問題』を控え、当社のホームページなどを見て、話を聞きたいという動きが出てきている」と説明。和氣総一朗執行役員営業部長は「新規のお客様の案件が増えているほか、大がかりなECタイムセールを控えて輸送を増やしたい、猛暑が予想される夏場に向けて増送したいといった声が増えている」と述べた。
「強靭化と商品性向上が2大テーマ」
また、国土交通省の「今後の鉄道物流のあり方に関する検討会」における議論について、真貝社長は「これまで4回の会合が開かれ、荷主や利用運送事業者をはじめとする関係者から様々な説明があった。改めて貨物鉄道輸送への期待が高いことを認識した一方で、貨物鉄道輸送の弱点についても、皆さんが同じ思いを持っている」との所感を語った。「これから検討会の議論がまとめに入っていくが、自然災害に対する強靭化をどう図るか、使いやすさや商品性をどう向上させていくか――の2点がポイントになると思う。JR貨物としても今後の事業を行う中で、この2点についての方向性もしっかりと出していく必要がある」と述べた。
(2022年6月23日号)