JR貨物、4月から鉄道基本運賃を6%値上げ
JR貨物(本社・東京都渋谷区、犬飼新社長)は17日、貨物鉄道の基本運賃(コンテナ、車扱)を4月1日から改定すると発表した。値上げ幅は6%。鉄道運賃の値上げは2018年10月に実施した10%の改定以来、5年半ぶりとなる。同日会見した犬飼社長は「電力費や燃料費、原材料価格が高騰を続けており、経営努力だけで増嵩したコストを吸収することは困難な状況になっている」と述べ、運賃値上げに理解を求めた。同社は今後、利用運送事業者や荷主などに説明していくとしている。
自助努力でのコスト吸収は限界に
今回の値上げ幅が6%になったことについて、犬飼社長は「電力費や燃料費、修繕にかかる人件費や材料費など、当社がコントロールしえない諸コストの上昇を反映したもの」とした上で、「ただ、上昇分を単純に転嫁するわけではなく、業務改善などによる経営努力も織り込んでいる」と説明した。また、高橋秀仁執行役員営業統括部長も「極力、自助努力で吸収すべきであり、運賃改定は最終的な手段だと考えている。ただ、今回については、前回(18年10月)から電力費や燃料費がかなり上がっている」と述べた。
さらに、今後の運賃改定に対する考え方について犬飼社長は、「原価が上昇する都度、運賃に転嫁するような考えは持っていない」とした上で、「ただ、仮に大幅な電力費や燃料費の高騰があった場合は(値上げを)考えざるを得ない。前回から今回にかけては5、6年の間隔が空いたが、今後はタイムリーにお願いせざるを得ないケースも考えられる」と含みを持たせた。
運賃改定はJR貨物発足以降、2回目に
JR貨物の基本運賃とは、発着駅間の運賃計算キロ程に応じた賃率が示された「貨物賃率表」をベースに、貨物の重量に基づいて算出した「運賃計算トン数」を乗じたもので、これに輸送条件等に応じた割増や割引を行ったものが最終的な鉄道運賃となる。
このうち「貨物賃率表」については、1987年のJR貨物発足以降も国鉄時代の賃率表を適用し続け、2018年10月の前回値上げがJR貨物として初めての基本運賃改定だった。
なお、荷主企業が支払う運賃・料金は、この鉄道基本運賃に利用運送事業者の集配料金などを合算したものとなる。
(2024年1月23日号)