メニュー

NXHD、経営計画の目標数値を引き上げ

2022.02.17

NIPPON EXPRESSホールディングス(NXHD、本社・東京都千代田区、齋藤充社長)は、2023年度(23年12月期)を最終年度とする「NXグループ経営計画2023」の目標数値を引き上げた。売上高は当初目標である2兆4000億円のままで据え置いたが、営業利益は当初の1000億円から100億円増の1100億円に修正。海外売上高は6000億円から7200億円に大幅に引き上げた。14日のオンラインによる決算発表会見で堀切智副社長は「経営計画はこれまでの3年間で着実に成果が表れている」と評価した上で、「残り2年間でNXグループの変革をさらに加速させる」と表明。海外物流会社を中心としたM&Aの実行と事業ポートフォリオの見直しなどに意欲を示した。

営業利益の目標値を引き上げたのは、医薬品物流事業の収益化が進むことに加えて、グループ経理基盤構築などの各種プロジェクトへの投資がほぼ終わり、コスト減少が見込めるため。これにより、当期純利益の目標も630億円から720億円に上積みした。一方、フォワーディングの目標数量については、航空、海運ともにスペース不足の状況が残るため、海運130万TEU→110万TEU、航空140万t→120万tにそれぞれ引き下げた。

今後の方向性について堀切副社長は「HD体制へ移行した大きな理由のひとつは、M&Aを活用した事業再編を進めやすい体制にすること。オーガニックな取り組みだけでは長期ビジョンに掲げた目標を達成することは困難であり、海外物流会社のM&Aを進めることが不可欠」との認識を示した。さらに、1月のHD体制移行に続く第2弾としてグループ事業の再編を加速させる考えを示し、「グループ内で重複する事業の整理を進める」として、不動産事業やロジスティクス・ファイナンス事業の再編を例にあげた。また、事業会社である日本通運を中心とした日本事業の再編に言及し、「グローバルで事業を拡大することを起点に、東・名・大に経営資源を集中させつつ、その他のエリアは各地の特性に合わせた体制に再構築する。同時にトラック、内航など国内ネットワーク商品をどのように効率的に機能させていくかも検討していく。スピードを意識し、今次経営計画の期間内に改革の目鼻をつけたい」と意欲を示した。

フォワーディング事業については「現状はスペース不足で思うような拡大が図れていないが、ボリューム戦略自体は変わらない」とした上で、「貨物のベースは海運にある。当社は従来から航空が得意で、海運を苦手としてきたが、航空戦力を活用しながら海運貨物を売っていくという方向に力を入れている。また、集中購買によって海運の購買力もついてきた。4月には集中購買機能をシンガポールに移してさらに強化していく」と述べた。

21年12月期は大幅な増収増益基調

旧日本通運の21年12月期連結業績(9ヵ月決算)は、売上高1兆7632億8200万円、営業利益687億5400万円、経常利益736億2700万円、当期純利益540億4900万円だった。

1~12月の12ヵ月換算によるプロフォーマベースでは、売上高が2兆3371億円(前期比13・9%増)、営業利益が970億円(33・1%増)、経常利益が1010億円(45・9%増)、当期純利益が661億円(31・5%増)となり、大幅な増収増益となった。

国内物流はコロナ禍によって相対的に低調だったが、海外・国際物流は好調が続き、とくに南アジア・オセアニア地域は、自動車関連貨物の伸びもあり大幅な増収増益だった。

なお、22年12月期の業績予想は増収増益となる見通し。売上高2兆3600億円、営業利益1000億円、経常利益1030億円、当期純利益1110億円を見込んでおり、当期純利益には旧汐留本社ビルの売却益が含まれる。航空、海運のスペース不足のトレンドが継続し、航空や海上運賃の高止まり傾向が続くほか、国内物流もコロナの影響から徐々に回復することを前提としている。
(2022年2月17日号)


関連記事一覧