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NXHDがグループ売上高3兆円へ、5年で海外倍増

2024.02.20

NIPPON EXPRESSホールディングス(本社・東京都千代田区、堀切智社長=写真)は14日、2024年12月期から28年12月期までの5ヵ年を期間とする新たな経営計画「NXグループ経営計画2028 Dynamic Growth 2.0 “Accelerating Sustainable Growth ~持続的な成長の加速~”」を策定した。最終年度のグループ売上高目標を3兆円とし、うち4割にあたる1兆2000億円を海外売上高とする目標を掲げた。「グローバル市場での成長加速」と「日本事業の再構築」を成長戦略の2本柱とし、海外売上高はM&Aによる積み上げ分を含め5年間で倍増を目指す。国内では日本通運による日本事業で社内カンパニー制の導入による地域ブロック再編に着手する。

 28年に海外売上高1兆2000億円を達成

新経営計画は、創業100周年となる2037年のありたい姿として定めた長期ビジョン「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」の実現に向けたセカンドステージという位置づけ。グループ売上高4兆円、海外売上高比率50%(2兆円)という長期ビジョンの目標からバックキャストして目標数値を定めた。

今後5年間でグループ売上高目標を2兆2390億円(23年12月期)から3兆円へ34%伸ばす。事業利益は812億円から1500億円へ、率にして3・6%から5・0%に引き上げる。ROEは4・8%から10%以上に向上させる。

成長ドライバーとなるのは海外。23年12月期の海外売上高5855億円を、5年間で1兆2000億円に倍増させる。増収分のうちM&Aによる寄与を3700億円に設定し、うち2500億円を1月に子会社化が完了したカーゴパートナー社、1000億円を新規分とした。今後はカーゴパートナー社へのPMIを実行してグループシナジーの創出に注力するほか、インド市場での存在感の確立を海外事業の柱に据えていく。

日本事業は社内カンパニー制を導入へ

一方、日本国内では「日本事業の再構築」を掲げ、前計画からの日本事業強靭化の継続・深化に取り組むほか、人手不足や脱炭素といった社会解題の解決を通じた事業成長を図る。

その取り組みのひとつとして、日本事業を担う日本通運に社内カンパニー制を導入する組織再編を検討していく。具体的には国内を「北海道・東北」「関東甲信越・中部・関西」「中国・四国・九州」の3ブロックに分け、各エリア(カンパニー)の特性を応じた経営の実現を目指す。このうち東京・名古屋・大阪を含んだ「関東甲信越・中部・関西」については、本社直轄としてグローバル関連ビジネスの伸長など市場ポテンシャルを最大化していく。

堀切社長「経営をスピードアップしていく」

14日にオンラインで会見した堀切社長は、新計画について「過去の延長線上の考え方や取り組みでは目標は実現できない」と変革の重要性を強調したほか、「これまでは組織規模が大きいために、施策の浸透などに時間を要していたが、もっとスピード感が必要だ」と意思決定をスピードアップしていく考えを示した。

今後のM&Aについては「基本的には海外が対象となる。海外でのロジ事業やフォワーディング事業の成長に必要な会社や機能を補完していく。エリアは重点エリアに位置づけているインドやアフリカに関心があるが、それだけにこだわっているわけではない」と述べた。また、インド市場については「アフリカへのゲートとしての可能性もあり、M&Aも絡ませながら伸ばしていきたい。将来的には現在の南アジア・オセアニア地域から新たなリージョンとして独立させることを含め事業拡大に期待している」とした。

さらに、日本通運での地域カンパニー制への移行について「今年1年で細部を詰めていくが、スピード感を重視しており、個人的には来年1月から実施していくイメージを持っている」と語った。
(2024年2月20日号)


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