経産省/国交省、スーパー等のアクションプラン策定へ
経済産業省と国土交通省は2日、フィジカルインターネット実現会議の第2回会合をオンライン方式で開催した。フィジカルインターネット(PI)の実現に向け、「消費財サプライチェーンのPI実現に向けた2030年までのアクションプラン」を策定することを決めた。併せて策定作業を行うワーキンググループ(WG)を設置した。同会議ではPIの実現を40年ごろと想定しているが、消費財は国民生活との密着度が高いとの観点から、他業界よりも10年前倒しで取り組む方針。
WGは今月以降、3回程度開催し、来年3月末までにアクションプランを策定する。メンバーは製配販にわたる関係企業を中心に研究機関や行政関係者によって構成。メーカーから、味の素上席理事食品事業本部物流企画部長の堀尾仁氏、花王ロジスティクスセンターセンター長の山下太氏、キユーピー上席執行役員ロジスティクスIT・業務改革推進担当の藤田正美氏、日清食品取締役事業構造改革推進部長の深井雅裕氏、ライオン流通政策部部長の押塚広之氏が参加。
卸から、あらたロジスティクス本部本部長の前川博徳氏、国分グループ本社物流統括部改善推進課課長の岸純平氏、PALTAC常務執行役員研究開発本部本部長の三木田雅和氏、三菱食品SCM統括統括オフィス室長代行の小谷光司氏が加わる。
スーパー・小売からは、イオンリテール執行役員MD改革本部長の西野克氏、イズミ営業企画部部長の田中寿喜氏、イトーヨーカ堂執行役員物流室長の豊島直人氏、ウエルシア薬局物流部長の西野利昭氏、シジシージャパン執行役員物流事業部事業部長の永田孝司氏、ヤオコーロジスティクス推進部長の神戸達也氏がメンバーとなった。
また、研究機関・学識経験者として流通システム開発センターソリューション第二部部長の浅野耕児氏、流通経済研究所専務理事の加藤弘貴氏、明治大学グローバル・ビジネス研究科専任教授の橋本雅隆氏が加わったほか、オブザーバーとして、カスミ商品開発本部物流担当マネジャーの齋藤雅之氏、日本加工食品卸協会専務理事の時岡肯平氏、農林水産省大臣官房新事業・食品産業部食品流通課、国交省総合政策局物流政策課が参加する。
PIの目指す「ゴールイメージ」とは?
また、PIの実現のロードマップに盛り込む項目とPI実現のゴールイメージについて意見交換を行った。事務局は「物流・商流データプラットフォーム」「水平連携(各種の標準化や企業間共同化など)」「垂直統合(サプライチェーンの川上から川下までを包含するBtoBtoCのサプライチェーンマネジメント)」「輸送機器(トラック・鉄道・船舶などマルチモーダル、自動化、機械化)」などを議論の糸口として提案。40年に向けたPIのゴールイメージは、①効率性(世界で最も効率的な物流システム)②強靭性(災害等の不測の事態に対する俊敏な対応)③良質な雇用の確保④ユニバーサル・サービス化――などを案として示した。
これを受け、各委員で意見交換を行った。東京大学教授の西成活裕委員は「物流は公共的なインフラであり、サプライチェーンだけでなくデマンドチェーンの面も含めて考えるべき」と提言。ローランド・ベルガーの小野塚征志氏は「新幹線が輸出産業となっている例もあるように、高度な物流インフラを我が国の新たな産業とするという視点も必要になる」と主張した。上智大学名誉教授の荒木勉委員は「ロジスティクスの本来の機能は社会や経済を支えるもの。後方支援という意義を忘れないことも重要だ」と指摘した。
会議ではこのほか、企業の事例発表が行われ、アスクルが自社のEC物流の効率化の取り組みを発表。ビジネスソリューション企業のCoupa(クーパ)がサプライチェーン高度化を果たす自社ソフトの概要などを紹介した。
(2021年11月9日号)